23 私が観ていた世界
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「それにしても…仲間はそいつらだけか?」
「…。」
「ブルーはどうした?姿が見当たらないが…ああ、すまない。死んだのか?これは聞くべきことではなかったな。クククク。」
「貴様!!!」
シルバーが仮面の男に向かって走り出す。
「シルバー!バカ…!止まれ!!」
ゴールドの言葉などもはや届いていない。
シルバーは手を仮面の男に向け、闇の能力を出す。
一直線に向かった黒い光は、氷によって明後日の方向へと反射する。
その先に仮面の男が新たな氷をだし、どんどん反射させていって…、
「!」
「ククク。バカめ。」
シルバー自身へと返ってきた。
ちょうど胸の辺りに攻撃をうけ、シルバーは苦しそうに膝をつく。
「こざかしい奴は、すみやかに始末しておかないとな。」
そう言って仮面の男がシルバーに向けて足を進める。
ビュッ!!
すると、蔓が勢いよく伸びてきてシルバーの身体に巻きつくとそのままヒュッと引っ込んだ。
その蔓の戻る先は、もちろんイミテの元だ。
見れば彼女を動きを封じていた氷の槍は粉々にくだけている。
「な…!いつの間にあの氷から抜け出した!?」
シルバーと戦っているときも、チラチラと横目で彼女達の様子を確認していたが、大きく動いた素振りはなかったのに。
「さあね。」
イミテはシルバーを木に寄りかからせると、そう言って笑みをうかべる。
…実は彼女は先ほど、蔓の壁の格子の目の荒さを変えて氷の槍を壊したのだ。
彼女の能力は、能力を使ってできた物の形を少々変える程度なら、弓を握りしめて念じるだけでできる。
もちろん、イミテはそれを仮面の男に明かすつもりはないようだ。
「(こっちが不利になったフリをして相手が油断した隙に、媒介を探そうと思ってたんだけどな…)」
失敗に終わってしまった。
シルバーにも怪我をさせてしまったし、…やはりこれ以上は、ゴールドとシルバーを仮面の男に近づけたくはない。
「たく、シルバーのやろう、無着しやがって。」
「ゴールド。ここはお願いね。」
「へ…!?」
イミテは仮面の男の方へ歩き出す。
「お前が相手か。氷と緑では相性が不利だと分かっただろうに…無謀なやつだ。」
「無謀かどうかは攻撃を受けてから言ってくれる?」
イミテは地面に矢を放った。
数本の蔓が仮面の男に向かって伸びる。
「また同じ手か。芸のない。」
さっきと同じように蔓は仮面の男に届く前に凍りついて、パキン!と砕け散ってしまった。
その直後、ビュッ!と無数の葉っぱが勢いよくとんでくる。
「!?」
「相性が悪くてもスピードで追いつからなきゃ問題ないから。」
イミテは笑う。
仮面の男はとっさに氷の壁をつくるが間に合わず、数十枚の葉っぱが彼のマントを切り裂き、そして…顔を覆っている仮面さえもはじいた。
滑り落ちた仮面はコロコロと地面を転がり、
…彼の真の顔が露わになる。
「は…?このジジイが仮面の男…!?」
ゴールドの言ったとおり、そこには老人がいた。
「(まさかこんな年老いてたなんて。しかも車イス…。)」
切り裂いたマントの間から見えるのは、氷の体とそこにはまっている車イス。
能力によってつくった体だろう。
そして、チラリと彼が杖を手にしているのが分かった。
「なるほど。その杖がアンタの媒介ってわけ。」
「フ…、媒介が分かったからなんだというんだ。」
「能力を使うタイミングが分かる。そうなれば、アンタの身動きを封じることもできる。」
イミテには1つの策がうかんでいた。
ゴールドにもシルバーにもこれ以上攻撃させず、レッドがここに来るまで、仮面の男を足止めするための策が。
イミテはチラリと空に目をやる。
自分達の周りはぼんやりと霧が立ちこめているが、上は明るい。
「(太陽がでてる…、よし!いける!)」
イミテがそれを行動に移そうと弓を握り直したときだった。
「お前らの思い通りにさせはしない!!」
恐れたのか、仮面の男がイミテを飛び越え、ゴールドとシルバーに向けて走っていく。
「!」
「っ!来るなら来いよ!返り討ちにしてやる!!」
ゴールドは棍棒を構えるが、
彼が攻撃するよりも、
仮面の男が攻撃するよりも、早く、
「!」
「イミテ先輩!?」
イミテが彼らの間に割って入った。
「貴様…!」
シャラン、と彼女の髪飾りが澄んだキレイな音をたてたのを合図にするかのように、あっという間にゴールドの目の前には蔓の壁ができていた。
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