23 私が観ていた世界
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合図はだした。
これから重要なのは、レッド達とグリーン達が来る前に仮面の男の情報をいかに集められるか、だ。
そして…、
「(シルバーが無茶しないように注意して見ておかなきゃ。)」
イミテはチラッとシルバーに目をやる。
彼はギリッと歯を食いしばっていて、まさに今にも憎悪がにじみ出てきそうな表情だ。
「…ゴールド。さっき言ったこと覚えてるよね?ここはまかせたから。」
「へ…、」
ゴールドが返事をする前に、イミテはダッと仮面の男に向かって走り出す。
「弓矢使いが、接近戦だと?」
「まさか。」
イミテは口元に笑みをうかべる。
そのまま大きく仮面の男の周囲をダダッと走って、その合間合間に自分の足元に向けて矢を放っていく。
「(なにするつもりなんだ…?にしても、相変わらずはえーな、先輩。)」
俊敏性は彼女の得意中の得意といっても良いぐらい、その才能に長けている。
「よし…!」
ちょうど一周したところでキュッと立ち止まり、イミテは仮面の男から少々距離をとる。
彼女が地面に放った矢は合計5本だ。
次の瞬間、その矢から勢いよく一斉に蔓が伸びて、仮面の男へと向かっていった。
「ほう…緑の能力者か。」
仮面の男はいたって冷静につぶやく。
バッと5本の蔓が仮面の男の身体をとらえたとき…、
ヒュウウウ…とどこからか肌寒い風が吹いてきた。
「「「!」」」
次の瞬間、パキパキと蔓があっという間に凍りついて…、パリン!と砕け散った。
「(やっぱり氷の能力者…)」
イミテはゴールド達の元へ戻り一旦距離をとる。
緑の能力と氷の能力では相性が悪い。
「イミテ先輩!次は俺が行きます!」
「ダメ。ゴールドはここに、」
「俺の能力ならイミテ先輩の能力よりかは対抗できるでしょう?」
「…。」
イミテは少し考え込む。
相手に手の内を明かしたくはないが、そうしなければ突破口が見つからないのも事実。
「じゃあ、この場から、1回だけ…攻撃してみて。」
しかしやはり無駄に力は使わせたくない、と、イミテは渋々といった感じで言った。
「了解ッス!おりゃ!」
ゴールドはそれに元気よく応えて棍棒を一振りする。
次いで、ビュッと一筋の電撃が勢いよく仮面の男の元へと向かっていった。
しかし、その電撃が届く前にゴールドと仮面の男の間を区切るように氷の壁ができた。
電撃は氷の壁に当たって、地面に拡散する。
「くそ…!」
ゴールドが悔しそうに顔をしかめる一方で、イミテもまた違う理由で顔をしかめていた。
「(媒介がない…?)」
そう、仮面の男は先ほどから攻撃をする際、媒介らしきものを使っている素振りが全くない。
光の能力者は別として、能力者は皆、媒介を必要とするはずなのに。
「そいつは雷の能力者か…。」
仮面の男がまるで見定めるかのようにそう呟いた。
声につられて、改めて彼を見る。
薄気味悪い仮面に、ゆらりと揺れる長い白髪…、そして、身体を覆い隠すほどの黒い長いマント。
その出で立ちが不気味さを余計に際立てていた。
「さて、まずは答えてもらおう。」
仮面のせいでくぐもった声で男は言う。
「私を狙う理由を!!」
「「「!」」」
先ほど電撃を防ぐために作られた氷の壁の視覚から、パキパキパキ、と新たな氷が迫ってきた。
「(媒介が分からないから、反応が遅れた…!)」
イミテはとっさに一歩前にでて矢を地面に放ち、蔓で格子状の壁をつくるが…
「!」
その格子の隙間を、いくつかの氷が鋭く尖った槍のような形になって突き抜けた。
その氷はイミテの周りを囲んで、身体に届く寸前でピタリと止まる。
「(形も規模も変えられるんだ、この能力。)」
「!」
「イミテ先ぱ、」
「動くな!さもないとそのままそいつの身体を貫く!!」
「く…!」
なぜか冷静なイミテとは対照的に、ゴールドとシルバーが反応して足を動かしたが、そう言われては身動きがとれない。
「!フ…フハハハハ!!」
急に笑い出した仮面の男。
その態度に「なんだよ!」とゴールドが思わず声を荒げる。
「緑の能力者と雷の能力者…、お前ら2人に恨まれる覚えはなく不思議に思っていたが…、そうか。お前が原因だったのか…シルバー!!」
「(気づかれた…)」
イミテは眉間にシワをよせる。
仮面の男から彼の姿が見えないように後ろに隠すようにして立っていたのだが…やはり見つかるのは時間の問題だった。
「フフフフ。私を殺したいが1人では怖くなってお友達をつれてきたのか。相変わらず、お前は心が弱いな、シルバー。」
「…!」
「お前だけは動くことを許してやろう。強くなったというのなら、他人の力など借りずに己の力のみで向かってきたらどうだ?」
「おい!シルバー!!挑発にのるんじゃねえぞ!!」
ゴールドがそう言うが、シルバーの顔はどんどん憎悪に満ちていく。
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