23 私が観ていた世界
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「あははは!その顔、けっさくだね~!!」
レッド達の様子を見て、イツキがお腹をかかえて笑う。
「やっぱり何かが変です!あの人達、よける素振りなんて見せてなかったのに…!」
「そりゃあそうだろ。アタイ達はこの場所から一歩も動いていないんだから!」
「!?どういう意味だ!」
「僕らが仮面の男に教わったのは、相手の視覚にうったえかけて惑わすことなんだよん。つまり、キミたちが攻撃を避けきれなかったり、攻撃を当てられなかったりしたのは、距離感がつかめなくなったからなのさ!」
「イツキ!しゃべりすぎだ!」
「いいじゃん、カリン。ど~せ、知ったところで何もできないんだしさ!」
「(視覚…、距離感…。)」
レッドは少々考えこんで、再度剣をふるって炎をだす。
やはり、炎はカリン達に届く前に消えてしまった。
「(アイツらの言ったとおりだ…、距離感がつかめないっ…!)」
「どうします!?レッドさん…。」
「戦う中で解決策を見つけるしかないな…。イエローは下がって何か気づいたことがあったら言ってくれ!」
「え!?あ…!」
イエローが言葉を返す前に、レッドは2人に向かって走っていった。
剣をふるうが、空振りで終わる。
そんな彼にカリンがいとも簡単に攻撃をして、やはり上手く避けきれないレッドの身体にはどんどん傷がついていった。
「(どうすれば…!)」
「あれ~?ぼやぼやしてていいのかなァ!?」
「!」
レッドが相手をしていたイツキが、隙を見てイエローに吹き矢を放った。
「!」
よけた…ハズなのに、グサリと太ももに矢が突き刺さる。
「~っ、」
痛みにイエローは思わずうずくまった。
「イエロー!」
「よそ見するんじゃないよ!」
「!」
レッドが助けに行こうとするが、カリンがそれを許さない。
「あははは!かわいそうなぐらい弱いねえ、キミ!これで最後だよ!」
ビュッとまたイツキが攻撃をする。
痛みで身体が動かせなくてイエローは思わずギュッと目をつぶった。
すると…、
ヒュ!
「(あれ…?)」
矢のとんでくる音が聞こえて、イエローは少し身体を横にずらす。
おかげで避けられた。
「運がよかったね。でも次は外さないよ。」
「(そういえばこの人は視覚にうったえかけて距離感をつかめなくしているって言ってた!もしかして…)」
痛みをこらえてイエローは立ち上がり、ゆっくりと目をつむる。
ヒュウ…と、やはり矢が飛んでくる音が鮮明に聞こえて、それとは逆の方向に身体を動かす。
「(避けられた!やっぱり聴覚とか他のところには影響がないんだ!)」
シルバーが以前シオンタウンの見張りをしていたとき、
“目をつむった方が、他の感覚器が優れ るんだ。”
そんなことをゴールドに言っていたなあ…とぼんやりと思い返した。
「(これしか対抗策はない…!)レッドさん!目をつぶってください!その人達の不思議な力は、視覚以外には影響ありません!」
「!イツキがよけいなこと言うからだよ!」
「大丈夫だよ。目をつむってたら避けることはできるかもしれないけど、攻撃できないからね。体力がなくなるのを待つだけさ!」
イツキが余裕ぶってそう言う傍らで、レッドは言われた通り目を閉じた。
「(たしかに僕は避けることしかできない。だけど…レッドさんならきっと…!)」
イエローは祈るようにしてレッドに想いをたくす。
「終わりだ!」
カリンが手を大きく振り上げてレッドに向かっていった。
直後、ドッと鈍い音が響く。
「う…、」
うめき声をあげてうずくまるカリン。
レッドが剣の柄で攻撃したのだ。
「ふぅ~。助かったぜ、イエロー。ありがとな!」
「バカな…!なんで目を閉じているのに相手がどこにいるか分かったんだ!?」
「簡単さ。気配を感じたからだ。攻撃のタイミングはほとんど勘だけどな。」
「勘…!?」
「グリーンが目を閉じて相手の気配を読むのはよくやってたから、たまに一緒になってやってたんだけど…今回が初めてだぜ!こんなに上手くいったのは。」
レッドは満足げな笑みをうかべて続ける。
「次は…お前だな。」
ゴオオ…と、炎をちらつかせながら言うレッド。
「(こんな桁外れな強さのヤツ、相手にしてられないよ!)くっ…!」
怖じ気づいたようで、ダッとイツキは一目散に逃げ出した。
「あ…!」
「イエロー、追わなくていい。怖じ気づいて、仲間をおいて逃げ出すなんて…そんな程度の覚悟だったんだろう。」
「…。」
イエローは倒れているカリンに目をやる。
気絶しているだけで怪我はしていない。
目が覚めて、仲間に見捨てられたと知ったら…彼女は何を思うのだろうか。
それを考えると少し胸が痛くなった。
「それに、本当に俺達が倒すべきなのは…、」
レッドは静かに、イミテのつくった蔓を見つめていた。
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