02 揺れる金は儚くて
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「わ、わ…!」
次々と繰り出されるタケシの攻撃を、イエローは必死で防ぐ。
「守ってるだけじゃ、不合格だぞ。」
「(そんなこと言われても…!;)」
守るのが精一杯で、攻撃をするスキなんてない。
「(どうすれば…)」
半ばパニックになりながら、イエローは必死で策を考える。
「(あれ…?)」
ふと、タケシが似たような動きで攻撃している気がした。
「(あ、まただ…。右をねらった後、必ず真上をねらってる…)」
やはり、タケシの動きには規則性がある。
たぶん端から見ると気づかない分かりづらい規則性だが、その攻撃を受け止めているイエローにははっきりと分かった。
「(あ……)」
イエローは、昨日イミテが言っていたことを思い出す。
“…タケシは優しいから、イエローなら簡単に合格できるよ”
「(もしかしてタケシさん…僕にスキをつかせるためにワザと決まった動きをしているんじゃ…)」
王が見ているから手は抜けない。
しかし、気づかれない程度にチャンスを与えることができる。
タケシは新人考査の時は毎回、新人が合格できるようにこうして少しヒントを与えていた。
…まあ、ほんの些細な動きの変化だから気づかない者もいるのだが。
そして、イミテはそれに気づいていたから、イエローにあんなことを言ったのだ。
「(よし…!)」
タケシの想いを悟ったイエローは、彼の攻撃を受け流しながら、動きをとらえることに意識を集中し始めた。
そして…、
「(ここだ!)」
タケシがわざとつくったスキを上手く見極め、思い切り蹴りをいれた。
「!(気づいたか。)」
それは上手くタケシにあたり…、彼は動きを止めた。
タケシが表情1つ変えないことから、イエローの攻撃は対して効果がなかったことが見て分かるが…
一撃加えたことに変わりはない。
タケシは審判に目配せをする。
「ご…合格!」
それに促されて審判役の人がそう声をはりあげた。
あまりに盛り上がりのない終わり方に皆ポカンとしてる中、パチパチと拍手が聞こえた。
「おめでとう。イエロー。」
「あ…、イミテさん!ありがとうございます!」
拍手をしていたのはイミテで、それにつられるようにパチパチと他の軍人達からも拍手が聞こえた。
「よかったー…。」
イエローは合格できたことに、ほっと安堵のため息をもらす。
それを見ていた王が、ヒゲをいじりながらイエローに言った。
「なんとも面白みのない試合だったが…まあよい。新人、こちらに参れ。」
「…はい。」
イエローは王の元へと歩み寄る。
おそらく彼女がこの世で一番憎んでいるであろう、王の元へ。
「(何も…起こらないといいけど。)」
イミテもその様子を少し緊張した面もちで見守っていた。
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