02 揺れる金は儚くて
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「タケシから何も聞いてない?」
「?はい。」
「…てっきり、入隊した時に説明受けてた思ってた。あー…確認しとくべきだったな…。」
イミテははあ、とため息まじりに言う。
「この城の軍隊の新人はね、入隊してから一定の期間がすぎたら、必ず考査を受ける決まりがあるの。」
「考査って、実力をみるってことですか?」
「うん。どれだけ上達したかを確認するのと同時に、軍人としてこの城に必要かどうかを調べるの。」
「え…それって、必要じゃないって判断されたら…、」
「もちろん、この城から追い出される。」
イエローの言葉に、イミテはコクリとうなずいて言った。
「こ、考査の内容って何ですか…?」
「ん?タケシと戦うこと。」
それを聞いたとたん、サー、と、イエローの顔が青ざめる。
「あ、戦うといっても一撃くらわせれば合格だから。そんなにかまえなくても大丈夫。」
イミテはイエローの頭を撫でて言う。
「…タケシは優しいから、イエローなら簡単に合格できるよ。」
「へ…?」
「考査までまだ時間もあるしね。さ、練習しよっか。」
首を傾げたイエローに、イミテは笑って言った。
それから3日後の朝。
城の裏庭には、対峙して立つイエローとタケシの姿があった。
そんな2人をたくさんの軍人が囲むようにして立っている。
もちろんその中にはイミテの姿もあり、腕組みをして様子をうかがっていた。
さらに、金がほどこされた椅子に座ってふんぞり返っているのは、この国の王だ。
そう、今日は例の新人考査の日。
「新人、準備はいいか?」
「はい…!」
イエローは少し緊張気味に返事を返す。
自分は何としてでもこの場を切り抜けなければいけない。
もっと強くなるために。
強くなって、復讐するために。
…そして、自分の面倒を見てくれたイミテのために。
「(だいじょうぶ。毎日、修行したんだから…!)」
イエローはグッと拳をにぎり、タケシを見据える。
それと同時に、ゴーンと考査開始の鐘が鳴った。
まず動いたのはイエロー。
素早い動きで、タケシの背後に周りこもうとする。
力でタケシに叶うはずがないことは分かりきっていたから、素早さでスキをつくしかないと考えていたのだ。
案の定、小柄なイエローのほうが動きは早く、いとも簡単にタケシの後ろをとった。
「(今だ!)」
イエローは思いっきり回し蹴りをする。
が、それをタケシは片手で止める。
「わ…!」
足をつかまれてバランスを崩したイエローは、その場に前のめりに転んだ。
「いたた…。」
「(やっぱり…。素早さでは勝てても、それを決定打にできるほどの力がイエローにはまだない。)」
痛みをこらえながら必死に立ち上がるイエローを見て、イミテはいたって冷静に状況を把握する。
「次はこっちが攻撃する番だな。」
「へ…、」
立ち上がったイエローに、今度はタケシがズイッと近づいた。
「!」
彼の拳がイエローの顔目掛けて真っ直ぐとんできて、イエローはすかさず腕を前に出して守りにはいる。
「い…!?」
顔に当たることはなかったが、その攻撃をかばった腕にビリビリという異常な痛みがはしった。
1回の攻撃が…とてつもなく重い。
「(タケシさん、力ありすぎ…!)」
イエローはたらりと冷や汗をかいた。
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