22 痛みを知る者
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「でもブルーさん、本当に身体、平気なんですか?昨日あんなにダメージ受けてたのに。」
「ええ。全快とまではいかないけど平気よ。…それに早くしないと仮面の男に逃げられるかもしれないし、休んでなんかいられないわ。」
前を見据えて言うブルーの瞳には、強い意志が宿っているようにも思えた。
「やはり相当なものだな。アイツの覚悟は。」
「ああ…。イミテ、ブルーにどこまで話した?」
「全部話した。仮面の男が氷の能力者だってこともね。」
レッドとグリーンとイミテはブルー達よりも数メートル前を歩いていて、彼らには聞こえないように小声で話している。
「それを知ってもなお、あの様子か…。」
「…私はブルーとシルバーにはなるべく戦いに参加してほしくない。あの2人は仮面の男を前にしたらきっと冷静さを失う。」
「そうなったら、ワタルが言ってた通り死ににいくようなもんだよな。」
「俺達の戦いにも支障がでる。アイツらを気にかけながら戦えるほど甘い相手じゃない。」
するとレッドが、イミテとグリーンに言った。
「もしものときは、お前らでブルー達を止めてくれ。」
「レッドは?」
「俺は、仮面の男と戦う。」
レッドは前を向いたまま、足を止めることなく言った。
「まあ、それが最良の策だろうな。」
グリーンもレッドの考えに賛成のようだ。
が、イミテが突然レッドの腕をガッとつかんだ。
「へ、」
「1人で戦おうなんて思わないで。私達もサポートするから。」
イミテは不安を感じていたのだ。
レッドに負担が全て集中してしまうことに。
1人で全部背負わないでほしい。
頼ってほしい。
「おう。」
レッドもそれを察したようで、穏やかに笑った。
「あ!レッドさん、グリーンさん。あれ、昨日話を聞いた船乗りさんじゃないですか?」
「お、ちょうどいいタイミングだな。交渉してくるか。すいません!」
レッド達に気づき、船乗りが顔を向ける。
「おっ、昨日の奴らか。もうすぐ出航なんだ。悪いが相手してる暇はねえ。」
「その出航に関して頼みがあるんだ。」
「頼み?なんだ?運んで欲しいもんでもあるのか。」
「ああ。俺達を乗せてくれ。」
「はあ!?」
グリーンの言葉に対し、船乗りは一瞬で勘弁してくれと言ったような表情になった。
「冗談じゃない。これは貨物船なんだぞ?客なんて乗せたら上からどんな文句を言われるか。」
「無理なお願いをしているのは分かってます。何とかしてもらえませんか?代金もちゃんと払うんで。」
「そういう問題じゃねえよ。お前ら、剣士だろう?それにそっちのお嬢ちゃんは弓持ってるし、こっちは棍棒を持ってる。」
船乗りはイミテとゴールドを順に指差して言う。
「以前は貨物船に一般人を乗せてやってたらしいんだが、そいつらが船を乗っ取ろうとしたことがあってな。」
「俺達は別に、」
「お前等がそうとは言ってない。だが、それ以来船員達は一般人を乗せることに敏感になってるんだ。悪いが他をあたってくれ。」
「お願いします!俺達、どうしてもグレンタウンに行きたいんです!」
「信じられないというなら、武器を預けてもいい。」
「おいおい、勘弁してくれよ。無理だって言ってるだろ。」
レッドとグリーンが必死に交渉にあたる。
それを見たゴールドがこっそりイミテに耳打ちをする。
「イミテ先輩。無理そうだし、こっそり船に忍びこんじまえばいいんじゃないスか?」
「そうしたいのはやまやまなんだけど、できればちゃんとした部屋でシルバーのこと休ませたいから。」
「あー…なるほど。」
「でも船乗りさんのあの様子だと…、むずかしそうですね。」
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