21 たったひとつの天敵
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「さてと…。イエロー。ブルーは気絶してるだけなんだよな?」
「あ、はい!大きな傷はないです。」
「よし。とにかく運ぼう。ここじゃ怪しまれる。」
「たしかにそうッスね。じゃあイエロー先輩!俺、ブルー先輩運びます!」
そう言ってイエローの方へと走りだそうとしたゴールドのえりを後ろからイミテがつかんだ。
「痛っ…!?なにするんスか!イミテ先輩!!」
「ブルーは私とイエローで運ぶから、ゴールドはシルバーをお願い。」
「え…」
あからさまに嫌そうな顔をしたゴールド。
「まあ…そのほうがいいだろうな。」
「皆してひどいッスよ。別に俺だって、けが人襲ったりはしないっつーの。」
「そういうことじゃなくて…、たぶんあとで困るの、お前自身だぞ?」
「?」
意味が分からなくて眉間にシワをよせたゴールド。
そんな彼にイミテが綺麗に笑って言った。
「目が覚めたら身体に触った料金の請求とか、ブルーならやりかねないからね。」
「こんな状況なのに!?」
ゴールドは思わず声をあげたものの、その様子は想像できないこともなくて…
「…仕方ないからコイツ運ぶの手伝います。」
若干顔をひきつらせながら言う。
その様子にレッドとイエローがプッと吹き出し、ゴールドが「笑わないでくださいよ!」などとつっかかって…
「(さっきまでほんの少しピリピリしてたのに、あっという間に空気が穏やかになったな…)」
イミテもほんのりと、嬉しそうに笑った。
そのあと町に戻って宿をとった。
イミテ、イエロー、ブルーが泊まる3人部屋を1つと、それとは別の宿にレッド、グリーン、ゴールド、シルバーが泊まる4人部屋を1つ。
ちなみにこれだけの大人数、全員で同じ宿をとると目立ちそうなのでそれぞれ別の宿だ。
そして、ここは男子が借りた部屋。
コンコン、と宿の扉がノックされる。
それに即座に反応したのはゴールドだった。
「はいはいはい!今開けます!」
ダダッと走っていって、扉を開ける。
「待ちくたびれたッスよ、イミテ先輩!さっ、どうぞどうぞ!」
「…なんだかいつにも増して元気だね、ゴールド。」
イミテは彼の反応に、少々眉間にシワをよせた。
「やっぱ男だけの部屋より、女の人がいるほうが華がありますからねー!イミテ先輩が来てくれてよかった!」
「作戦たて終わったらすぐ戻るけどね。」
「えー!?」
「ブルーのこと心配だし。」
現在、イエローがブルーの看病をしている。
ブルーはあれからいまだに目を覚まさないのだ。
彼女のことは気がかりだが、今後のことを話し合わなければいけないため、イミテが一旦こっちに来たというわけだ。
「とりあえずあがるね。」
奥に進めばリビングにはレッドとグリーン…そして、隣の寝室にはシルバーが横になっていた。
彼からは時折苦しそうに「う…」と声がもれる。
「イミテ、遅かったな。」
「少しブルーの様子見てたから。…シルバーもまだ目が覚めてないんだね。」
「だいぶ能力使ったみたいだな。でも、はっきり言ってシルバーとブルーが回復で待ってる時間はない。」
「どういう意味?レッド。」
「グレンタウン行きの貨物船、一週間に一回しかでてなくてそれが明日なんだ。」
「つまり明日を逃したら一週間は動けない?」
「そういうこと。まあ、あのワタルって奴の話が本当なら仮面の男とブルー達を戦わせるわけにはいかないから…ちょうどいいけど。」
レッドの言葉に、ゴールドが反応した。
「俺たちで、そいつを倒すってことッスよね。」
「そうだ。ゴールドにも期待してるからな。」
「!まかせてください!」
レッドに言われたのが嬉しいのだろう、ゴールドは嬉しそうに笑う。
「そうは言っても、おそらく勝利の鍵を握るのは、レッド…お前だ。俺の大地の能力もゴールドの雷の能力も、決定打にはならないだろう。イミテの緑の能力もむしろ不利だ。」
「ああ…分かってる。」
絶対に負けない。
そう、レッドは強く続けた。
「(レッドが、唯一の天敵…)」
そしてそんな彼を、イミテは少し不安げに見つめていた。
いつだって
強くありたいと願う
自分の力で
大切なものを守り抜くため
後悔なんて、させたくない
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