21 たったひとつの天敵
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「大丈夫!ブルーさんは気絶しているだけです!」
ピリピリとした空気がただようなか、イエローが声をあげてブルーは軽傷だと言うことを知らせた。
その事実にホッと胸をなでおろしたあと、レッドは剣をぬいてワタルに向けた。
「何が目的なんだ?」
「目的なんてない。ただ警告しにきてやっただけだ。お前達能力者が無駄死にしないようにな。」
ワタルの言うお前達…というのは誰のことを言っているのかは分からない。
ただ少なくとも、ブルー、シルバー、そしてイエローが能力者である…ということが知られているのは確かだ。
「仮面の男は氷の能力者だ。貴様らでは太刀打ちできない。」
「氷…!?」
初めて聞く情報に、驚きを隠せず思わず復唱した。
「そうだ。それをふまえれば、まずあの女は水の能力。水で攻撃しても凍らされて、すべてが無効化される。」
「!」
「そしてその男は闇。副作用が大きすぎるうえに、氷は反射させるから攻撃が当たるとは限らない。」
ワタルの言っていることはもっともだった。
もしも本当に仮面の男が氷の能力者ならば、水も闇も通用しない。
「光の能力者は…問題外だな。」
ワタルはイエローに目をやり、言った。
「だったら俺が…、」
「レッド。」
グリーンが彼の言葉を遮るように、レッドの一歩前に出る。
おそらくレッドは自分の炎の能力なら氷に対抗できる、とでも言おうとしたのだろうが、ワタルはレッドとグリーンが能力者だとは気づいていない様子。
バラさないほうがいいと考えたのだろう。
「お前は仮面の男の配下か?」
「あんな下等と一緒にするな。ちなみにお前達が探しているサカキとも関係ない。」
「…素性を明かせ。」
グリーンは刀の柄をつかんで言う。
それはいつでも攻撃できるということを意味している。
再び、緊迫した空気が辺りを取り巻く。
「あ…!」
その様子を見守っていたイエローが、ふいに声をあげた。
やや遠くからこっちを見ているイミテとゴールドに気がついたのだ。
つい反応してしまったことを後悔したがすでに遅く、イエローにつられてレッドやグリーン、そしてワタルもイミテ達の存在に気がつく。
バレてしまっては仕方がない、といった感じでイミテとゴールドはレッド達の元へ歩みよった。
そして必然的に、この惨事に気づく。
「!え…?シルバー!?」
「ちょ…何があったんスか!?」
「まずお前ら…いつからいた?」
「レッド先輩が剣を抜いたところからッス。仮面の男は氷の能力者だとか話し始めて、」
「とりあえず様子をみようと思って、船の陰に隠れて話だけ聞いてた。」
つまり、バレないように隠れて話を聞いていたから、シルバーとブルーが倒れているこの状況は視界にはいっていなかったのだ。
「闇の能力…か。」
シルバーの身体に至って外傷はないことから、イミテが察する。
「ああ。あの男と戦ったせいだ。」
「…!」
グリーンの言葉に反応して、その視線をたどったイミテ。
思わず、驚きながらもつぶやく。
「ワタル…」
「久しぶりだな。」
「!?イミテ、何でアイツのこと知ってんだよ…!?」
「前に一度だけ…助けてもらったことがあるから。」
そう…以前、タマムシシティ郊外の森で。
キョウの毒のせいで熱を出しふらついていたイミテに手を貸してくれたのがワタルだった。
ほんの些細なことだったので、イミテはそのことを誰にも話していなかったのだが…、まさかまた彼と会うなんて思いもしなかった。
「ニビシティの元軍人…たしか緑の能力者か。」
「!…ふーん、調べたんだ?」
そういえば名乗ってしまったんだった、とイミテは軽く後悔する。
「いや。お前と初めて会ったときにはもうすでに知っていた。」
「え…」
“能力者についてどう思う?”
ワタルは能力者だと分かっていたから、あのときそんなことを聞いたのだろうか。
それにしても、だったらなぜ…、
「(私のこと、捕まえようとしなかったの?)」
能力者と分かっていたのなら、捕まえて政府に渡せば褒美がもらえたはず。
しかもあの時イミテは弱っていたから、容易く捕まえられただろう。
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