21 たったひとつの天敵
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異様な空気とともに現れたのは、一人の男だった。
朱色の髪に、朱色のマントが特徴的な…。
風でそのマントがなんだか怪しげに揺れる。
「誰だ…お前。」
レッドが警戒しながら、聞く。
「俺の名はワタルだ。」
「そんなことを聞いているんじゃない。何者かを聞いている。」
ギロリとグリーンがにらんだのに対し、ワタルと名乗った男は顔色1つ変えない。
「他人にやすやすと素性を明かす義理はない。」
「(あっさり名乗ったくせに…?)」
少々矛盾している言い分に、イエローは首をかしげた。
「お前達…そいつの仲間か?」
「お前に言う義理はない。」
お返しだと言わんばかりにグリーンが答える。
「フン…まあいい。お前達の反応を見ればすぐに分かるからな。」
ワタルはニッと笑って続けた。
「そこにいる赤髪を攻撃したのは、俺だ。」
「なんだと…?」
「その反応、やはりお前達もそいつと同類か。仮面の男に復讐しようとしてるらしいな。」
ワタルの目つきが鋭くなる。
まるで軽蔑するように冷たく、鋭く。
「仮面の男を甘く見るな。死ににいくようなもんだ。貴様らの力量ではとうてい勝てない。」
ワタルは淡々とそう言った。
その言葉に反応したシルバーがなんとか力を振り絞り立ち上がろうとするが…、
「く…、」
小さくうめいて、ドサリと倒れた。
「シルバー…!くそ…!イエロー!治せるか!?」
「無理だ。」
レッドの問いに、イエローではなくワタルが答える。
「お前には聞いてない!」
「光の能力者が治せるのは外傷のみ。毒や熱など体の内側のものは治せない。」
「!」
思わずレッド達3人は顔を見合わせた。
今ワタルが言ったことは全て事実だ。
しかし、なぜ彼はイエローが光の能力者だと知っているのだろうか。
そして、光の能力者の能力を知っているのだろうか。
「お前、何者だ?」
思わずグリーンがワタルに聞いた。
しかしワタルはそれには答えず、シルバーにチラリと目をやる。
「そいつは俺との戦いで闇の能力をかなり使った。闇の能力というのは力は強いが副作用がでる。」
「…そんなこと知っている。」
一方的に話すワタルに、グリーンはイラついた様子で答えた。
闇の能力については、以前ブルーが皆に話しをしたことがあるのだ。
「シルバーを無理させないためにも、知ってほしい」と言って。
ブルーはシルバーになるべくその能力を使ってほしくなかった。
「そいつがそれほどまでに弱っているのは、全て闇の能力の副作用。自業自得ということだ。外傷ではないから光の能力者には治せない。」
「…あの人の言う通りです。レッドさん、グリーンさん。シルバーさんは…回復するのを待つしかない。治療のほどこしようがありません。」
「お、俺のことは…かまうな…!それより、姉さん、を…」
「ブルーもいるのか!?…ッ!」
「!ブルーさん!」
シルバーの言葉にハッとして辺りを見回せば、そう遠くないところに生えている木の根元にブルーが倒れているのが見えた。
イエローがあわてて駆けよる。
「シルバー!ブルーは!?何があったんだ!?」
「姉さんは…、」
悔しげに顔をゆがめて言葉をつまらせるシルバー。
「あの女が傷を負ったのは少なくとも俺のせいじゃない。そいつの責任だ。」
変わりにワタルがシルバーを指差して言った。
「シルバーがブルーに攻撃するわけないだろ!」
「フハハハ!おい、闇の能力は不便だな。」
ワタルはレッドの反応を見て高らかに笑い、バカにするような口調でシルバーに向かって言う。
「どういう意味だ!?」
「アイツが…俺の闇の能力を鏡で跳ね返して…、その攻撃が、姉さんにあたったん、だ…!」
「「!」」
闇の能力の弱点とも言える、反射。
闇の能力は鏡などに当たると跳ね返ってしまうのだ。
クチバシティでマチスと戦ったときにその現状を目の当たりにしているレッドとグリーンは、もちろんそれを知っている。
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