21 たったひとつの天敵
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イミテ達がレッドを見つける数時間前。
レッドとグリーンとイエローの3人は予定通り港を探していた。
しかし一向にブルー達の姿は見つけらない。
「いませんね…、ブルーさん達。」
「もうグレン行きの船に乗った可能性もある。まず船の出航日時を確認するぞ。」
「おう。…って言っても、こうも人が少ないとなあ。聞きこみも大変そうだ。」
町は人でにぎわっていたのに対し、港にはほとんど人がいない。
「港町なのに、変ですね。」
「ついでにその理由も聞くか。…おっ!すいません!」
大きな荷物をかかえて船から出てきた船乗りにレッドが声をかける。
「聞きたいことがあるんですけど。今忙しいですか?」
「少し休憩しようと思ってたところだからいいよ。なんだ?」
船乗りはドスンと地面に荷物を下ろし、ふう…と肩を回して軽くストレッチをし始める。
「グレンタウン行きの船の出航日時を知りたいんですけど。」
「なんだい、観光かい?」
「まあそんなところです。」
曖昧に笑ったレッドに、船乗りは「残念!」とどことなく楽しげに話し始める。
「観光用の船は今はでてないんだよ。あの島に行きたがる人なんていないからね。」
「どういう意味だ?」
「お前ら何も知らないんだなあ。…まあ、ここらの人間じゃないみてーだし、旅人なら仕方ないか。」
船乗りは少々声を小さくして周りを警戒しながら言う。
「グレンタウンには今、人さらいがでるってもっぱらの噂なんだぜ。」
「「!」」
「おかげで観光客なんてもってのほか!唯一でてるとしたらこの荷物を運ぶ貨物船ぐらいだよ。」
船乗りはポン、と傍らの荷物に手を置いて言う。
「その貨物船は頻繁にでてるのか?」
「いや。週に一回程度だ。ちょうど明日が出航日だな。」
「明日、か…。」
だとすればブルー達はまだこの町にいるはずだ。
その確信にも似た予想は、次の船乗りの言葉で決定的になる。
「そういえば、昨日もお前らと同じようなこと聞いてきた男女の二人組がいたなあ。」
「!どこに言ったか分かりますか!?」
「さあ…。観光用の船はでてないって言ったら、残念そうな顔して沿岸沿いに歩いていったけど。」
「そうか。時間をとって悪かったな。行くぞ。レッド、イエロー。」
そう言ってスタスタと歩き出すグリーン。
レッドとイエローも船乗りにお礼を言うと、急いで彼の後を追う。
「待てよ、グリーン!ブルー達がどこにいるか、検討がついたのか?」
「大体はな。沿岸沿いに小さな林があった。そこにテントでもはって貨物船の出航を待っている可能性が高い。」
「え…?町に宿があるのにわざわざテントですか?」
「確信はないが、この町はシオンタウンからそれほど距離がないからな。ナツメが来るリスクを考えれば、林の中のほうが安全だ。」
「なるほどなー。」
レッドが感心したように頭の後ろで腕を組んだちょうどそのとき、グリーンの足がピタリと止まった。
「ん?どうした?」
「あれは…、」
グリーンの視線の先には、大きな一隻の船。
船の装飾があまりされてないところから考えると、おそらくあれは貨物船だろう。
「へ…?」
レッドも思わず声をあげた。
その貨物船のちょうど影になっているところに、チラリと見えた、赤い髪を見つけて。
「あれって…!」
「シルバーさん!?」
イエローも気づき、慌てて駆け寄る。
案の定、それはシルバーで、うつ伏せに倒れていた。
「どうしたんですか!?しっかりしてください!!」
「おい!大丈夫か!?」
レッドが身体を支えシルバーの身体を仰向けにさせると、彼は「う…」と苦しげながらも声をあげる。
「よかった、呼吸はちゃんとしてるみたいだ。」
「でも顔色がすごく悪いです…!」
「外傷は…、ないのか。」
そう…グリーンの言うとおり、不思議なことに目に見える傷はない。
「一体、なにがあったんだ…!?」
レッドがそうつぶやいた直後、
「「!」」
何か…空気が変わったことに気づき、レッドもグリーンも自身の武器に手をかけた。
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