21 たったひとつの天敵
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「うわあー!可愛い町ですね!」
イエローは胸の前で手を合わせて弾むような口調で言う。
「ブルー達も買い物とかして時間つぶしてくれてればいいんだけど…。」
「あ、でも可能性はありますよね!ブルーさん、お洒落好きそうだし。」
「よっしゃ!手分けして探すか!」
「はいはいはい!」
レッドのその勢いのある声に負けないぐらい元気のある声で、ゴールドが片手を高く挙げて言った。
「なんだ?ゴールド。」
「2人と3人で分けるんスよね?だったら俺、イミテ先輩とがいいッス!」
「え…?」
「ほら、カップルのふりしてお店の中探せるでしょう?俺、演技力には自信があるんでまかせてください!」
へへんと、得意気に言うゴールド。
…周りには下心があるのが丸分かりだ。
「あのなあ、もっとちゃんと誰と誰が組めばいいか考えてから、」
「私はいいけど。ゴールドとで。」
レッドが言ってる途中にイミテがしれっとそう言った。
ゴールドはよっしゃあ!と隠すそぶりもなくガッツポーズをする。
「ゴールド、盗賊だっただけあって素早いから何かあればすぐ逃げれるし、案外相性いいかもしれない。」
「さっすがイミテ先輩!分かってる!」
うんうん、と頷くように聞いていたゴールドだが、
「カップルは無理だと思うけど、姉と弟ってことにすれば隣歩いてても違和感ないしね。」
そんなイミテの言葉に大いにずっこけた。
結局、イミテとゴールドが店の中の捜索、レッドとグリーンとイエローが港周辺の聞き込みと船の出航日時の確認…ということで落ち着いた。
イミテ達は一通り町を聞いて回ってみた…のはいいのだが、ブルー達の情報は全く聞けなかった。
「この町素通りして船に乗ったんスかねー。」
「グレンタウンへの船がどれだけ頻繁にでてるかによるね。一週間に一回とかでちょうど町に着いたときが船のでる日だったら迷わず乗るだろうし。」
「じゃあレッド先輩達のとこ戻りますか。船についての情報も聞き出してるだろうし。」
そう言って港のほうに歩き出すゴールド。
イミテもその半歩後ろを歩く。
「…イミテ先輩、なんか微妙な距離感とってません?」
「このほうがそれっぽく見えると思って。はしゃぐ弟を見守る姉…みたいな。」
「なんスか、それ!あ。なんなら手でもつなぎます?そうすればどっからどう見てもカップルッスよ!」
ニッと笑ってゴールドはイミテに向けて手を差し出すが…、
「はなして。」
「え…、まだつないですらいないんスけど…。離してって、」
「そっちじゃなくて、話ししてって意味のほう。ゴールド、私とペアになったの、なにか理由があるんでしょ?」
「…イミテ先輩も鋭いッスよねー。ホントに。」
ゴールドは参ったと言う様子で頭をかく。
「お礼が言いたかったんスよ。」
「なんの?」
「昨日の夜、俺がグリーン先輩に問いつめられそうになったとき、わざと話し終わらせてくれたんスよね?イミテ先輩。」
グリーンに隠し事をしていると感づかれたあのとき、イミテが普段はとらないような少々強引な行動をとったのはそのためだと、ゴールドは半ば確信していた。
「なんのこと?」
そう言ったイミテは、やんわりと優しく笑っていて…。
「(ずりいよなあ…、そんな表情。)」
ゴールドは軽く見とれていた。
「…そーだ。イミテ先輩。俺、レッド先輩に聞いたんスよ。」
そして、またしばらく歩いたところで今度はゴールドが話を切りだす。
「レッド先輩の、記憶喪失のこと。」
ゴールドの言葉にイミテは一瞬驚いた表情になったが、すぐに
「いつ聞いたの?」
と穏やかに笑って言った。
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