20 信じるチカラ
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「今の…、」
自分の両手を見て唖然とするクリス。
まさか…自分が能力者だったのだろうか…?
「…お前、能力者か?」
そのことに気づいた男はゆったりと、不気味な笑みを浮かべた。
「待て!彼女に手をだすな!!」
「ミナキさん、札を…!もし私が能力者なら…、対抗できるかもしれない!」
「クリス!今の状況を考えろ!もし能力者なら、政府の言いなりになって一生を過ごすんだぞ!?」
「それでもいい!!子供達を守れるなら…それでも…。」
クリスはうつむきながら言った。
「クリス…!」
ミナキはギリッとやりきれないというような表情を見せる。
「いい心構えだな、クリス殿。」
軍人達に「さがってろ」と命令すると、男はゆっくりとクリスに近づいた。
「お前達とは取り引きはしないつもりだったが…能力者と言うなら話しは別だ。」
「え…?」
「クリス殿にチャンスを与えよう。」
「クリス!聞くな!」
「お前は黙っていろ、ミナキ。」
男が厳しい口調で言うと、軍人がそれに反応するかのように動きミナキを捕らえる。
そして、いとも簡単に両手を後ろで拘束した。
「離せ!」
「俺はクリス殿と話しをしているんだ。少し黙ってろ。」
「く…!」
「さて、本題にはいろうか。君がこの先5年、我々政府に協力するというなら子供達を見逃してやってもいい。」
「!」
その言葉を聞き、クリスの表情が変わった。
「本当に…?」
「ああ。本当だとも。」
「嘘に決まってる!1度捕まった能力者は一生政府の言いなりのまま…、」
「だまってろと言っただろう!もういい、そいつを殺せ。」
男が命じると、ミナキに剣が向けられた。
「やめて!!」
それをクリスが声をあげて必死に止める。
「もう1つ条件を追加して!そうしたら取り引きにおうじるわ!」
「クリス…!」
「ほう…言ってみろ。」
「ミナキさんには手を出さないで。そして、一切の罰を与えないで。」
「!」
「それは無理だな。密偵を見つけたら追放するのが我々のルールなんだ。」
「……っ」
顔をゆがめたクリスを見て、男はニヤリと笑って言った。
「しかし、我々としてもここで能力者を逃すのは惜しい。……特別にその条件をのもう。」
「!」
「ただし、クリス殿が裏切る可能性もあるからな。5年はミナキを拘束する。いわばコイツは人質だ。」
「そんな…!」
「これでもだいぶ甘くしてるんだぞ。この条件が嫌というなら強制はしない。我々はこの場でミナキを殺し、子供達を施設にやるまでだ。」
「………。」
「そいつの言うことを聞くな!クリス!」
「私は…、」
必死で止めようとするミナキの言葉は、もうクリスには届いていないだろう。
「……アナタ達に、協力…します。」
……さっきまでぼんやりと空に浮かんでいた月が、雲に隠れて見えなくなった。
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