20 信じるチカラ
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ミ、ミナキさん…!!」
あわててクリスが駆け寄る。
「ミナキ。お前は牢屋行きだ。大人しくしていろ。」
「待て…、その前に、クリス達の取り引きを終わらせろ…」
少し息をきらせながら言うミナキに、男はニヤリと笑った。
「何を言っているんだ?金も用意できていないくせに取り引きだと?」
「お金なら用意したじゃない!」
「まさかこの燃えカスのことを言っているのか?ハハハ!」
「あ…」
あっという間にバッグは燃え尽き、真っ黒になっていた。
もはや跡形もない。
「まだ中身も確認していないのに、金が入っていたなんて誰が信じるか。」
「確認なら、その人が…!」
ついさっきまでバッグを見ていた男の家来を、クリスが指差した瞬間…
バン!!
「!?」
短い銃声とともに、その人は地面に倒れた。
「ほら、これで証拠がなくなった。」
男はまた笑みを浮かべる。
「貴様…!口封じのために、自分の家来を…!最初からそのつもりだったのか!?」
「裏切り者の質問に答えるギリはない。さあ、クリス殿。子供を差し出してもらおう。」
「……っ!」
「金はないんだろう?そういう約束だ。」
「…アンタなんかに子供達は渡さない!!」
クリスはそう言うと再び短剣をかまえ、ミナキをかばうようにして前に立った。
「刃向かうなら殺すまでだ。行け。」
男が命じると横にひかえていた軍人達が、ジリジリとクリスに歩み寄る。
「クリス!どけ!逃げろ!!」
「逃げません!!ここで逃げたらジョバンニ先生が報われない!」
クリスがそう言い切った直後、軍人の1人が彼女に向けて剣をふりおろした。
「きゃ…!」
クリスはとっさに短剣でその攻撃を防いだが、なにせ初心者、勢いに負けて後ろによろけた。
それをミナキが支える。
「クリス!力が違いすぎる!分かるだろう!?ジョバンニさんは、せめて君にだけは生きて欲しいと願ってるはずだ!!」
「でも…、!!」
クリスが顔をあげ反論しようとした時、ミナキの服のふところにチラリと紙切れが見えた。
そう、……札だ。
「っ!」
「!?何を…ッ!」
クリスは無我夢中でそれをつかみ、ミナキからバッと離れた。
「(お願いッ!!)」
私ならどうなってもいいッ!
普通と違っても、
化け物でも、
希望もなにも、なくなってもいいから…!
何でもいいから力がほしい…!!
クリスは、ギュッと両手で札をつかんで願った。
しかし、札はくしゃりとむなしい音をたてるのみ。
全く反応しない。
「クリス!それをよこせ!言っただろう!それは次の能力者の媒介だと!!」
「能力者でもいい!力が手に入るなら、なんでもいいから…!私は、皆を…!!」
泣き崩れるようにしゃがみこんだクリス。
ミナキはゆっくりと声をかけた。
「何も反応しないということは、君が能力者ではないということだ。」
「……。」
「今回はあきらめよう。ジョバンニさんのためにも、子供達のためにも…君はここで命をおとしてはいけないんだ。」
「…私、は…」
クリスが何かを言いかけたとき、札がパアとかすかに光った。
「え…?」
「ま、まさか!!」
それは男の元へと勢いよくとんでいく。
「!」
しかし、張り付く前に札はあっけなく斬られてしまった。
.