20 信じるチカラ
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「ミナキ、さん…!ごめんなさ、い…私、アナタを疑った…!」
涙でつっかえながらも謝るクリス。
―…こんなにも心温かい人を疑ってしまった
その事実が、クリスをひどく自己嫌悪におちいらせる。
そんな彼女の背中をミナキは優しくさすった。
「いいさ。それよりクリス。私達は今やるべきことをやろう。」
「やるべき、こと…?」
「ああ。金は用意してきた。政府にこれを渡して帰ってもらうんだ。」
ミナキは傍らに置いてあったバッグを指さして言った。
「嘘…!本当に?」
「ああ。」
「これで、子供達は助かるの…?」
クリスの言葉にミナキは「ああ。」と力強くうなずく。
「よかった…本当によかった…。」
クリスは涙を流しながら、そう何度もくり返した。
ミナキが手を伸ばしてそれをぬぐおうとした時…
「…感動にひたっているところ悪いな。話しをしようか、……クズども。」
低い声が聞こえた。
同時に、ぞろぞろという無数の足音も聞こえる。
……政府の人間だ。
「な、なんでアナタ達がここに!?ジョバンニ先生は…!?」
「ジョバンニ殿なら塾の庭にいるよ。」
「…!?」
「まあ…もう冷たくなっていると思うが。」
「!アンタ達…まさか…!」
「我々に刃向かったんだから仕方がないだろう。あっけない最期だったよ。手榴弾を使う暇もなく、胸をうたれてパタリと倒れた。クク…」
クリスは懐から短剣を取り出して、思い出し笑いをしている男に切っ先を向けた。
「許さない…!絶対に、許さない…!私がここで、ジョバンニ先生のかたきを…」
「クリス!早まるな!」
それを止めたのはミナキだった。
彼はクリスより2、3歩前にでて、ドサリとバッグを地面に置いた。
「ここに、お前達が提示した額の金がはいっている。確認しろ。」
「クク……ミナキじゃないか。庶民に手を貸すなんて…お前、自分の立場が分かっているのか?」
「ミナキさん…」
「話しをすり替えるな。今は彼女達のことについて話している。さっさと金を確認しろ。そして彼女達には今後一切関わるな。」
にらみつけながら言うミナキを、男は小バカするように鼻で笑った。
「ほう…。ずいぶんと強気だなあ。まあいい。お前、確認しろ。」
「はい。」
隣りにいた家来と思われる男にそう命じ、自分は悠々とタバコに火をつける。
「…ところでミナキ。さっきの会話、聞かせてもらったぞ。」
「「!」」
「うすうす怪しいと思っていたが…お前が政府の密偵だとはな。どんな処分がくだるか楽しみだ。」
「ミナキさん…!」
「大丈夫だ、クリス。そんなに心配することじゃない。」
「でも…!」
ミナキとクリスが話している最中、
「おおっと!」
男が声をあげた。
その声にバッと2人が目をやると、金を入れていたバッグが勢いよく燃えていた。
「!お前、何を…!」
「悪いな。手がすべって、タバコが落ちてしまった。」
「!くそ…!」
ワザとらしくあやまった男は間違いなく確信犯だ。
ミナキは急いでマントをぬぐと、バサバサとあおぎ火を消そうとする。
しかし…、
「う…!」
軍人の1人がミナキに思いっきり蹴りをくらわせ、ミナキは後ろへふっとんだ。
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