02 揺れる金は儚くて
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「初めまして。」
「は、初めまして!よろしくお願いします!」
集会が終わり、改めて軽くあいさつをかわす2人。
そんな彼らを見たタケシは、驚いた表情をうかべて言った。
「イミテ、珍しいな。お前がそんな友好的に接するなんて…。」
「友好的?別に普通だけど。」
「そうか?いつもはもっと周りは皆敵って感じだろ。なんだか新人に対しては優しいな。」
「……。」
タケシの言葉を無視し、イミテはそっぽを向く。
そんな彼女にタケシは苦笑し、続けた。
「実は新人をお前の下につかせるかどうか迷ったんだ。お前は絶対に嫌がると思ってたからな。」
「(たしかに“この子”じゃなかったら、断ってたかもね。)」
「まあ…引き受けてくれて何よりだ。ちゃんと面倒みてやれよ?」
「言われなくても分かってる。…おいで。部屋まで案内してあげる。」
「あ、はい!」
少年はイミテの後についていき、2人はメインホールを後にした。
場所は変わり、城の武器庫に彼らはいた。
武器庫ということもあり、ここには滅多に人が来ない。
唯一人が出入りするのは、武器の点検と掃除の時のみだ。
「イミテさん…?部屋に行くんじゃないんですか…?」
少年は首を傾げて聞く。
「君に、聞きたいことがあって。」
イミテは振り返り、少年の顔を見つめた。
少年は思わず、バッと帽子をさらに深くかぶる。
「バレてないとでも思った?……イエロー。」
部屋に、一瞬の沈黙が流れる。
少年…いや、少女は、苦笑いをうかべて観念したように帽子をとった。
フサアと、長い金のポニーテールがゆれる。
「こんなに早くばれちゃうなんて…。やっぱり、イミテさんはすごいですね。」
「…男装までして、何のためにこんなとこに来たの?」
ふわりと笑ったイエローとは対照的に、イミテは厳しい目つきで彼女を問いただす。
「せっかく逃がしてもらったのに、わざわざまた戻ってきて……恩知らずだって分かってます。」
イエローは申し訳なさそうに、話し始めた。
「でも僕…強くなりたかったんです。イミテさんみたいに、力が欲しい…!」
「………。」
「イミテさん、言いましたよね?この世界では力がないほうが生きやすい、って。」
イエローの言葉にイミテは特に返事をするわけでもなく、ただ黙って聞いていた。
「僕は…たとえ生きづらくなったとしても、力が欲しいんです!王に復讐するための力が…!」
「……復讐して、その後どうするの?そんなことしたらその後の人生が大きく変わる。きっとアナタは、いろんなものを無くす。」
「……っ、」
「ねえ、ちゃんと考えて言ってる?」
イミテの表情は相変わらず厳しく、イエローは一瞬ひるんだ。
「僕なりによく考えたつもりです!!復讐して元に戻るものなんて何もない。……だけど!」
でももう1度向き直り、自分の思いを伝える。
「やっぱり悔しくて、耐えられないんです…ッ!僕には帰る場所がないと思うと、憎くて、仕方がない…!」
イエローの大切なものを、この国の王が奪った。
その事実は変わることなく、永遠に彼女の中に刻み込まれている。
「だから、もしそのまま僕の人生が終わったとしても、復讐ができれば……満足なんです。」
その想いを我慢して生きるより、何とかしたいと思った。
たとえ自分の一生を犠牲にすることになったとしても。
.