20 信じるチカラ
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「クリス姉ちゃん!あそこ!小屋がある!」
「え…?」
突然の子供の明るい声に、クリスはバッと顔を上げた。
たしかに、少し先に小屋がある。
きっとあれがジョバンニの言っていた小屋だろう。
「(私がこの子達を守らなきゃ…!)皆、小屋に入ってて。絶対に出てきちゃダメよ。」
「クリス姉ちゃんはどこ行くの!?」
「行っちゃヤダよ…!」
「…ごめんね。すぐ戻るから!」
クリスはダッと勢いよく駆け出した。
守らなければいけない、子供達を。
そして、守るためには確かめなければいけない…、真実を。
しばらく森の中を走ったところで、目的の人影を見つけた。
「クリス…!」
そして、その人は驚いた様子で彼女の名前を呼んだ。
「ミナキ、さん…。」
クリスも彼の名前をつぶやく。
「子供達は無事か!?」
「ええ…。向こうに、ちゃんと全員います。」
「そうか、よかった…。」
ホッと胸をなでおろしたミナキ。
そんな彼と対照的に、クリスの胸は高鳴る。
「ミナキさん…どうして…?」
「え?」
ドクンドクンと、
「どうして、ここが分かったの…?」
まるで、波打つように。
「ああ!ジョバンニさんが昨日の夜、『帰ってきて違和感を感じた時は、塾に行かないでここに行ってください』と私にコレを渡してね。」
ミナキが取り出したのは1枚の紙切れ。
そこには今、子供達がいる小屋の場所が印されていた。
「…町の人から事情は少し聞いたよ。政府の人間が約束の期限を無視したんだって?」
「………。」
クリスは無言のままミナキの手からメモをバッと取ると、ビリビリに破いて、捨てた。
「な…!?」
突然の行動に驚いているミナキを、クリスは思いきりにらみつける。
「どれだけ私達をバカにすれば気がすむの!?このメモだって…どうせアナタが作ったんでしょ!?ねえ!」
「なに言って、」
「とぼけないでよ!!楽しい!?私達がだまして、喜ばせておいて、苦しむ姿を見るのは、そんなに楽しいの!?」
「落ち着け!クリス!」
「知ってるのよ!アナタが政府の人間だって!!」
「!」
ミナキは目を大きく見開く。
「……そんな反応するってことは…本当なのね…。最初から、私達をだますつもりで近づいたの…?」
「違うんだクリス…聞いてくれ。」
「どうして?ねえ…。どうしてなのよ…。」
「クリス、」
「信じてたのに…。ジョバンニ先生も、子供達も、私も…アナタのこと、信じて、」
「クリス!!」
虚ろな目をしてつぶやくクリスに、ミナキは思わず大声を出した。
クリスの肩がビクリとはねる。
「クリス、聞いてくれ。たしかに私は政府の人間だ。」
「!やっぱり…」
「でも君達をだまそうとなんてしていない!そんなつもりで近づいたんじゃないんだ!」
「じゃあどうして素性を隠そうとしたの!?知られちゃまずいことがあるからでしょう!?」
「……ああ。」
うなずいたミナキに、クリスはふつふつと怒りを感じた。
「何なのよ…!話しにならな「私は…政府の密偵なんだ。」
「密偵…?」
クリスの言葉をさえぎって、ミナキが観念したように打ち明けた。
「ああ。政府の味方のフリをしながら、彼らの動きをさぐってる。」
「…嘘よ。きっと。」
「嘘じゃない!!」
「……っ、」
ミナキの強い口調と真剣な眼差しに、クリスは言い返せなくなって黙りこむ。
.