20 信じるチカラ
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「クリスお姉ちゃん!ミナキさんはどこに行ったの?」
日が昇り、ぞろぞろと起きてきた子供達は皆、クリスにそう聞いた。
「ミナキさんは用事があって今日はいないのよ。」
もう何度目かも分からない、同じ返事を返す。
「えー!今日は一緒に町にマジック見せに行くって約束したのに~!」
「夕方までには帰ってくるらしいから。今日は我慢ね。」
「あーあ。楽しみにしてたのにな。」
「いいじゃない。」
クリスはニコッと子供に笑いかける。
「……これからはずーっと、一緒にいられるんだから。」
この危機を乗り越えれば明日も明後日も、皆で一緒にいられる。
何1つ、心配するようなことはなくなるのだ。
「(このまま状況が無事に進めばだけど―…)」
クリスは心のどこかで、胸騒ぎを覚えていた。
―…なんだか、嫌な予感がする。
「ジョバンニ先生!クリス姉ちゃん!も、門の前に、鉄砲を持った人が―…!」
1人の男の子が、叫んだ。
「!」
………不幸にも、彼女の予感はあたってしまったのだ。
クリスが門のところへ行ってみると、案の定、政府の人間達が銃を片手に立っていた。
「おやおや。いつかの威勢のいいお嬢ちゃんじゃないか。ジョバンニ殿はどこだい?」
「…約束の期日は明日のはずです!お引き取りください。」
「わざわざ我々が出向いてやったのに、何だその言いぐさは。どうやら君はまだ自分の立場が分かっていないようだね。」
「っ!自分達が言ったんでしょう!?1週間後に来るって!」
クリスの言葉に「はて?」と政府の男はわざとらしく首をかしげた。
「最近、いそがしくてね。君達みたいなクズみたいなもの達との約束、覚えてられないんだよ。」
「―……!」
ニヤリと笑った男に、クリスは今までにない怒りを覚え、思わず懐に隠し持っていたいた短剣をとりだそうとした。
しかし……
「クリスさん!」
ジョバンニがそれより先にクリスの前に歩みでた。
「ジョバンニ先生…!」
「クリスさん、大丈夫アルか?」
ジョバンニはクリスをかばうように立ちながら、「…すきを見て塾の中に入って。」と彼女の耳元でささやいた。
「え…?」
「そして、子供達と裏口から出て西の森へ進むアルよ。奥に進むと小屋があるから、ミナキさんが来るまではなんとか持ちこたえてください。」
「でもそれじゃあジョバンニ先生が…!」
「それしか子供達を助けるすべはないデス。お願いします、クリスさん。」
「……っ、」
声をひそめて話すジョバンニ。
しかし、その会話の一部が聞こえてしまったみたいで、男が顔をしかめた。
「(ミナキだと…?まさか…。)おい、何をコソコソ言っているんだ?ジョバンニ殿、金は用意できたのかい?」
「まだアル。でももう少しすれば、ある男の人が金を持ってきてくれマス。それまで待ってほし「ハハハハ!」
ジョバンニの言葉を、男の高笑いがさえぎる。
「なるほど、その男がミナキというワケか。クク…。」
「!どうしてミナキさんのこと知ってるの!?」
クリスが思わずそう聞くと、男の口元が弧をえがいた。
「ミナキは我々政府の手先だからな。」
「!?なに言って…、」
「おや?信じられないかい?だったら本人に直接聞いてみるといい。」
自信ありげに言った男からは、嘘をついている様子は見られない。
「そんな…」
「クリスさん、この男の言葉を信用してはいけないデス。ミナキさんを信じましょう。」
「…ええ。」
クリス達の会話を聞いて男は「まあ、じきに分かるさ。」と笑った
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