20 信じるチカラ
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「アンタの超能力で操れるのは“無生物”だけ。“生物”は操ることができない。」
「…!」
ナツメの表情がほんの一瞬変わったことをイミテは見逃さなかった。
「当たり、みたいね。」
「……。」
「ガラスや矢は操れても、蔓は植物。生きてるから操れない。そうでしょう?仮に生物が操れるなら、私自身を操れば楽だもの。」
イミテの言葉を聞き、ナツメは観念したようにフッと笑った。
「ご名答。私が操れるのは命の宿っていないもののみだ。お前、勘が鋭いな。…嫌な女だ。」
「アンタに言われたくない。」
イミテが弓をギュッと握れば、ドーム状の蔓があっという間に消えた。
「せっかくの蔓をといていいのか?」
「まあ、すぐに作れるから。それに、………ずっと隠れてるわけにもいかないし。」
「ほう…。フフ、気の強い奴は嫌いじゃないぞ。」
「あいにく、私はアンタみたいな人、大嫌いだから!」
イミテはそう勢いよく言い放つと、自分の足元に矢を放った。
するとそこからナツメに向かって蔓が伸びる。
「こざかしい…!」
ナツメは横に逃げるが、その動きに合わせて蔓も彼女を追いかける。
逃げるので精一杯なナツメにイミテが2本目の矢を放った。
ナツメが超能力を使う余裕もなく、矢は上手く服だけに刺さって、そこからでてきた蔓はナツメの動きを完全に封じられた。
「勝ち目がないのはアンタのほうみたいね。」
「………く、」
ナツメは悔しそうに顔を背ける。
「前に私の弓を操って崖から落とそうとしたのはアンタ。そして私の仲間を操ったのはあの女の子なんでしょ?」
「フフ…すばらしい洞察力だな。…さすがは元ニビシティの王の第一家来とでも言っておこうか。」
「………。」
イミテは無言でナツメに近づき弓を構える。
「サカキについて知ってることを全部言って。彼の目的は何?」
「………。」
「答えないと弓を撃つ。本気だから。」
ギリッとイミテが弓を引く。
すると、ナツメの口元がゆるりと弧をえがいた。
「なに、笑って……」
「イミテ!!」
突如後ろから聞こえた声。
振り返れば、息を切らしたレッドが丁度階段のところにいた。
少し遅れてグリーンとイエローも現れる。
「皆!どうしてここに!?」
「僕がレッドさん達に伝えたんです。窓ガラスが割れた音がして起きたら、ゴールドさんがいなくなってたから…。」
「で、イミテもいないことに気づいてさ。何かあったんじゃないかってふんで、来てみたら…案の定ってわけだ。」
そう事情を説明するレッドの手には剣が握られていて、切っ先に宿っている炎はほんのりとまばゆい光を発していた。
レッドの炎の能力で、この薄暗い建物内を照らしてここまでたどり着いたのだろう。
それに気づき、イミテの顔が青ざめた。
「!レッド!火を消して!今すぐ!!」
「え……?」
「もう遅い!」
ナツメがそう言うと同時に、レッドの剣に宿っていた炎がボボッと不規則に散らばった。
「あっち!」
「や……!」
「バカか!味方に攻撃してどうする!」
「いや、俺、何もしてないって!」
彼らが焦っている間に、炎はいろんなところに飛び散り、ついに蔓で作った壁に引火した。
もちろん植物は火に弱いため、あっという間に燃えてなくなる。
「あ……!」
イミテがそっちに気を取られたほんの一瞬、ナツメがニヤリと笑った。
「イミテさん!危な―…」
「え……、やっ…!」
その笑みに気づいたイエローが叫んだがすでに遅く、炎がイミテに向かってとんできた。
イミテは弓を構えるのを止め、炎を腕でかばう。
.