02 揺れる金は儚くて
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イエローが脱獄してから数日後。
イミテがいるニビシティの城では、あれから特に侵入者もなく、平和で穏やかな日々が続いていた。
「(めんどくさいな…)」
あくびをしながら、城の廊下を歩くイミテ。
彼女が目指しているのは、城のメインホール。
実は今日は週に1度の集会の日なのだ。
しばらく歩いてメインホールにたどり着き、イミテがギイ…と扉を開ける。
どうやらイミテは1番遅かったらしく、そこにはすでに大勢の軍人が集まっていた。
たくさんの視線が一気にイミテに向けられる。
「イミテ…遅いぞ。」
「…ちゃんと来ただけいいでしょ?」
軽く咎めたタケシに対し、彼女は悪びれた様子もなく答えた。
そんな態度を見てタケシは軽くため息をつき、軍人に向き直って言う。
「今から、集会を始める。」
隣国の動きや政治のこと、侵入者への処分や見張りの順番など、実に長ったらしい話が続いた。
「(こんな話ししたって、最終的には王が決めるんだから意味ないのに…。)」
もちろんイミテは話しをろくに聞かず、心の中でそんな悪態をついていた。
いくらここで意見を言ったとしても、反映されることはまずないのだ。
ぼんやりと窓の外を眺めていたイミテだったが、
「最後に新人を紹介する。」
ふいに聞こえたそんなタケシの言葉に、思わず視線を戻した。
「(新人…?)」
新人なんて数年前にイミテがここに入隊して以来始めてだ。
…イミテが来てからは力が十分足りるようになり、王が軍人の募集を率先して行わなくなったことが影響しているのだろう。
故に、イミテにとっては、この新人が初めての後輩的な存在。
「さあ、入れ。」
タケシに促されて、隅のほうのカーテンから少年がでてきた。
金髪で、背はイミテより少し小さい。
軍人には珍しくだいぶ若くて、年齢はイミテより下にも思えた。
「は…初めまして!分からないことだらけですが、ご指導のほどよろしくお願いします!」
少し緊張気味に話す少年。
「………。」
イミテはすぐに、その少年の不可解な点に気づいた。
若干、声が高い。
見た感じ腕にも足にも、それほど筋肉もついていない。
そして腰に刺さっている短剣は明らかに新品だ。
入隊記念として新しく武器をそろえたという可能性もあるが…
これから、いつ何が起こるか分からない環境で過ごしていくというのに、わざわざ使い慣れた武器を手放すものなのだろうか?
帽子をすっぽりかぶってさっきからうつむいているため表情は分からないし、まだハッキリとしたことは言えない。
でも…明らかに怪しいと思った。
他の軍人達は興味がないというか何とも思っていないようで、やがてパラパラと歓迎の拍手が聞こえてきた。
「彼の面倒は…イミテ、お前にまかせる。」
「え…?」
「本人の希望だ。1番強い奴の下につきたいらしい。いいか?」
「……1番強い、ねえ…。」
イミテは再び疑うように彼をチラリと見る。
「!(ふーん…。)了解。」
一瞬、イミテの顔が変わった。
…彼を見ていたらあることに気づいたらしい。
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