18 真実へと続く階段
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「な、なんで…!?」
「自分の周りをよく見て見ろよ。」
そう言われ、クリスは辺りを見回す。
「これは…水!?」
「ご名答。」
彼女の周りにあったのは水だった。
よく見れば、それはゴールドの元へと繋がっている。
「ここにくる途中、水筒の水を少しばらまいた。水は電気をよく通すからな。水なら、空気の軌道を変えられても問題ねえだろ?」
ニッと笑って、ゴールドはクリスに近づく。
クリスは逃げようとするが、痺れのせいで手足は動かない。
彼女はギリッと、ゴールドを睨みつけた。
「心配すんな。動けねえ相手をこれ以上いたぶったりしねーよ。」
「……。」
「それより話してくれ。」
「何を…?」
「お前がナツメの仲間でいる理由だ。嫌なら逃げればいいだろ?」
「………。」
クリスは俯いて黙りこんだ。
「何か、理由があるのか?」
「………。」
「黙ったままじゃ、何も分かんねえって。」
「………。」
「言わないんなら、力づくで聞いてもいいんだぜ。お前も痛い思いするの嫌だろ?」
「………。」
相変わらずの無反応にゴールドははあ、と深いため息をつく。
「仕方ねえ、お前が言うまでこのまま待つか。」
「……別に、力づくで聞き出せばいいじゃない。」
「なに、力づくで聞いてほしいのか?」
「そうは言ってないわよ!わざわざそうしないで待つなんて…変だと思っただけ!」
クリスはふい、と顔をそむける。
「バカだなあ、お前。」
「な…!」
「力じゃ何も解決しねえだろ?」
「!……。」
「俺はお前の口から正直に、思ったままのことを言ってほしいんだよ、クリス。」
ゴールドに名前を呼ばれ、クリスの胸はなぜか高鳴った。
ドキン、と。
不思議と、それは心に深く心地よく響いた。
「……察して。」
「は?」
「言ったことがナツメにバレたら、何もかもが終わるの。今まで我慢してきたことが、全部崩れる。だから、言えない。」
それを聞いたゴールドは苦笑する。
「やっぱバカだなー。」
「ちょ……人が真剣に話してるのに、」
「何の為に最上階まで来たと思ってんだ?それに、イミテ先輩……あの弓矢持ってた美人な女の人は強え。ナツメがここに来る心配はねえよ。」
笑顔を見せるゴールド。
そんな彼の表情を見て、クリスは何とも言えない気持ちになった。
――信じてもいいのだろうか…?
「聞いて、どうするの…?」
「そうだなあ…。俺ができる限りのことはしてやるよ。とにかく話しが聞きてえ。」
「………。」
クリスは、ゴールドを見つめた。
「…分かったわ。話す。」
もう痺れもだいぶとれたようで、クリスは自力で起き上がる。
と言っても、まだ少し辛いのか、壁にもたれかかるようにして座った。
「平気か?」
「バカにしないで。これぐらい、どうってことない。」
「可愛くねえなあ。」
「悪かったわね。」
何だか不思議なやりとりに、クリスは思わず笑ってしまう。
しばらくして、彼女はすう、と自らを落ち着かせるように小さく深呼吸して……、
「……人質をとられてるの。」
そう言った彼女の瞳は、水晶のようにギラギラと鋭く光って、ゴールドを捉えた。
長い階段を登り終え、
その先の扉を開ければ、
今まで見えなかった闇が
一気に襲いかかる
それでも君は、
扉を開けるだろう
その鍵となるのは、
きっと、大きな覚悟
.