18 真実へと続く階段
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ナツメ…様…。」
少女の顔がみるみるうちに真っ青になっていく。
「クリス。お前、今何を言おうとした?」
「クリス……?」
ゴールドは思わず復唱した。
“クリス”……おそらく少女の名前だろう。
「あのことを忘れたのか?お前が刃向かえば、アイツは「嫌!ごめんなさい、ごめんなさい…!それだけは止めてください!ごめんなさい……!」
クリスは頭を抱えるようにして、ガクリと地面に膝をついた。
「おい、大丈夫かよ…!」
ゴールドは背中に手を置き、クリスの顔を覗きこむ。
ナツメはその様子を見ながら笑みをうかべた。
「そいつとずいぶん親しくなったものだな、クリス。」
「違います、これは…!」
「違うと言うのなら、お前の手でそいつを始末してみろ。」
ナツメはじっとりとした笑みをうかべる。
クリスはスッと振りかえってゴールドを見た。
悲しみと苦しみが溢れ出そうな表情で。
「できなければ……分かっているな。」
ナツメの言葉に、クリスの瞳は変わった。
クリスはゆっくり立ち上がると札を構える。
ゴールドはそれに反応し、距離をとった。
「お前、こんなことしたくないんじゃなかったのかよ!」
「……。」
「無駄だ。クリスは我が手足も同然。」
「そうかよ!だったら…!」
ゴールドは勢いよく地を蹴り、ナツメの元まで一直線にとんだ。
「だったら元凶を断ち切るまでだぜ!おりゃあ!!」
彼は力いっぱい棍棒を振り下ろしたが…。
「な…!」
それはナツメの体をすり抜けた。
「フフ…打撃攻撃は効かない。そんなことよりクリスに背をむけていいのか?」
「!」
クリスは無防備なゴールドに向けて、札をとばす。
が、それは横からとんできた何かによって、真っ二つにさけた。
振り返れば、そこには弓を手にしたイミテがいた。
「イミテ先輩…!」
「何やってんの!早くそこから逃げて!」
イミテの言葉に、ゴールドはバッとその場から離れる。
そしてイミテの隣りに並んだ。
「なんで、ここにいるんスか!?」
「冷えてきたからゴールドとイエローに紅茶でも渡そうと思って行ってみたら、ゴールドいないんだもの。イエローは寝てるし。心配になって様子見にきたけど…、正解だったみたいね。」
イミテはふう、とため息をつく。
「2人で行動が原則って言ったでしょ?」
「だってイエロー先輩、かなりぐっすり寝てて起こすのかわいそうだったし…。」
「言い訳しない!あの女の子の力は1人じゃ太刀打ちできないの。一瞬でも隙を見せて操られたら、そこで終わりなんだから。」
イミテはキッとクリスを睨む。
その瞳にとらえられてクリスの肩がびくりとはねる。
「そりゃあさっきは油断したけど…札ぐらい楽によけられるッスよ!次は…」
「違うよ。ただの札じゃない。」
「え…?」
「この前からずっと考えてたの。小屋で寝ていたグリーンに外から札が届くはずがない。」
「じゃあどこかから忍び込んだとか…。」
「ううん。そんなことすれば私かレッドが気配に気づくはず。でもあの時は怪しい気配は全くしなかった。あの女の子の札、普通じゃない。きっと何かをして札の動きを操ってる。」
イミテの推察を聞いていたナツメは「ほう。」と感嘆の声を漏らした。
「ゴールド。少しの間でいいから2人の攻撃をふせいで。ここから地面に矢をうって能力を使えば、たぶんイエロー達が気づいてくれるから。」
数メートル後ろにある窓をちらりと顧みてイミテは言った。
しかし、ゴールドが慌てて声をあげる。
「レッド先輩達には知らせないでください!なんとか俺らで…!」
「…何かあったの?」
ゴールドはそっとイミテに耳打ちする。
「あいつ、さっき何か言いかけてたんスよ。どうも悪い奴とは思えねえ。俺はそれを聞き出したいんス。人が多いと、話せるもんも話しづらくなるでしょう?」
「………。」
「お願いします!イミテ先輩!」
ゴールドは必死にイミテに訴える。
そんな様子を見てふっ、と彼女は口元をゆるめた。
.