18 真実へと続く階段
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その日の夜。
「ずいぶん無防備に寝るなー。イエロー先輩…。」
シオンタワーの陰で、苦笑しながらそう言ったのは、ゴールドだった。
昼間、薪を拾って小屋に向かった彼は、イミテに『必ず2人で行動で、見張りは2時間交替ね。』と伝えられた。
見張りは正直言ってめんどくさかったが、イミテに言われたため、彼は素直に頷いたのだ。
ゴールドは少なからずイミテを尊敬し、信頼している。
“仲間に、なろう?”
自分にそう言った時の彼女の瞳は、思い出す度に胸が温まるような、そんな、優しい瞳だったから。
信じてみようと思った、―…彼女を。
(おそらく見張りのことを伝えたのがグリーンだったら、彼はおおいに悪態をついていただろう)
今、見張り番をしているのは、ゴールドとイエローだ。
昼間は『ゴールドさんのことは任せてください!』と少し年上ぶっていた彼女だが、眠気に勝てなかったようですやすやと眠っていた。
ゴールドが男であることなんて全く気にしていないように、ぐっすりと。
「(ま、イエロー先輩らしいっちゃらしいけど)」
ゴールドはそんなことを考えながら上を向く。
曇っているのか星はまったくなく、かろうじて月がぼんやりと光っている。
「(そういえば……。)」
黄色く光る月を見ていたら、あるものを思い出し、ゴールドはポケットに手を突っ込む。
それはナツメと一緒にいた少女が落としていったイヤリング。
「(なくなったことに気づいて、必死に探してたりして……。)」
そんなことを考えながら、また空を仰ぐ。
その直後…。
タタタ…
誰かの足音が聞こえた。
ナツメが帰ってきたのだろうか?
イエローを起こそうかとも考えたが、まだ確信はない。
ゴールドは意を決して、息を潜め物陰からそっと様子をうかがうことにした。
「あ……」
そして、その人物の姿を確認した時、彼はつい小さくだけれど声をあげてしまった。
だって、今さっきまで自分が思い返していた少女がいたのだから。
癖毛なのか肩の高さで跳ねている2つ結びの髪。
水晶を埋め込んだような暗闇に映える色をしている瞳。
そして、左耳にだけある星形のイヤリング……。
間違いない、この前ナツメといた少女だ。
少女はゴールドの声に気づき彼のほうを向いたため、彼らはばっちりと目が合った。
ほんの一瞬、2人の間に沈黙が流れる。
「……っ!」
少女は我に返ったようにハッとなると、すぐに身をひるがえし走り去る。
「おい…!」
ゴールドもつられて彼女を追いかけた。
「……こ、こないで!」
それに気づいた少女はおびえたようにそう言うと、シオンタワーの中へと入っていく。
「くそっ…!」
『こないで』と言われて『分かりました』というバカ正直な彼ではない。
むしろ絶対捕まえてやる!と躍起になって、彼もまた吸い込まれるようにシオンタワーに入っていった。
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