18 真実へと続く階段
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早朝、宿を出た彼ら。
半日ほど歩いたところで、ようやくシオンタウンに着いた。
「ここがシオンタウンですか…。なんだか不気味な町ですね。」
イエローが町並みを見てそうつぶやくのも無理もない。
この町は昼間だというのに人の姿は全くなく、町全体が静まりかえっていたのだ。
人はいることにはいるのだが、どうやら皆、家の中にこもっているらしい。
どの家もカーテンを閉め切った状態で、まるで何かにおびえているようだった。
「思いっきり警戒されてるッスね、俺ら。」
そう、町の人達はときおり様子を伺うために、チラチラとカーテンの隙間からレッド達を覗いていた。
「完全に怪しまれてるみたいだな。」
「なんか居心地悪いね。」
「というか、このまま歩いてると目立つんじゃないでしょうか?」
イエローの言葉にはたと全員の足が止まった。
確かに周りに人がいない町中を5人という大人数で歩くというのは…あまりに目を引く。
するとグリーンがスッとゴールドに向けて手を伸ばした。
「?」
「……ゴールド。発信機を貸せ。」
「何スか?急に。」
「ブルーに連絡をとる。」
グリーンはそれだけ言うとせかすような目でゴールドを見た。
「できるんスか?これ、盗聴器だから一方的に会話が聞かれるだけなんでしょ?」
ゴールドは渋々といった様子で、グリーンに発信機を手渡す。
グリーンは屈んで落ちていた小石を拾い上げ、続いてバッグから空きビンを取り出した。
「「「「……?」」」」
グリーン以外は何をする気なのだろうと首を傾げる。
すると………、
ギイイイイイ!
と、まるで猫がガラスで爪を研ぐような鋭い音が辺りに響き渡った。
「お、おいグリーン、何やって…!」
ギイイイイイ!!
「!;」
レッドが止めようとしたが、脳まで響く嫌な音に耳をふさぎ思わず後ずさった。
「グリーン!」
イミテが彼の名前を呼ぶが、その騒音にかき消され全く届いていないようだ。
「……イミテさん、僕、頭がガンガンしてきました…」
イエローはふらりと壁に手をつき、なんとか自らを支えていた。
「ちょ…イエロー!?あー!もう…!;」
さすがにこのままではいられない、としびれを切らしたイミテは、背中に担いでいた矢立に手を伸ばした。
おそらく矢でビンを割ってしまおうと考えたのだろう。
スッ、と彼女は矢を構える。
と、その時……
「あーもう!うるさいわよ!いい加減にしてよねっ!」
建物の陰から、ブルーが頭を抱えながら現れた。
それを確認して、グリーンは手を止める。
ようやく嫌な音が止んだ、と彼以外の誰もが安堵のため息をついた。
「グリーン!アンタ、あたしの耳が悪くなったらどうしてくれるのよ!」
「知るか。さっさとでてこないお前が悪い。覗き見して何をたくらんでた?」
「う……。」
グリーンにしれっと言われブルーは言葉につまる。
「ブルー、俺達のこと見てたのか?」
「……ええ。あんた達がシオンタウンに入った時から後を付けてたの。」
ブルーは降参したように頬に手を当てて、ため息をはきながら言った。
「いきなり出て行って脅かそうとしたのに…。」
「ブルー先輩ってイタズラ好きなんスね…;」
ゴールドが苦笑しながら言えば、彼女はにっこりと満面の笑みをうかべた。
「そんな悠長なことして…ナツメに気づかれたらどうするつもり?」
「大丈夫よ。今はいないもの。」
「え!?逃げたのか!?」
「いいえ。おそらく報告か何かをしに行ったんでしょうね。軽装備だったし。そのうち戻ってくるわよ。」
ふとイエローがキョロキョロと辺りを見回し、首を傾げた。
「シルバーさんはどこにいるんですか?」
「まだシオンタワーを見張ってるわ。いつナツメが来るか分からないから…。」
「え…じゃあシルバー、昨日から休みなしで見張ってるの?」
「ええ。少しは休みなさいって言ってるんだけど…。」
「じゃあまずはシオンタワーに行こうぜ!この中の誰かがシルバーと交代してやって、それから作戦をたてよう。」
レッドが明るく仕切ると、ブルーは「案内するわ。付いて来て。」と歩き出した。
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