17 風に誘われた香り
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「何なんだよっ」とゴールドは不服そうに地団駄を踏んだ。
「まあグリーンは考え方が大人っぽいからな。仕方ないさ。」
「それにしても言い方ってもんがあるでしょ!イエロー先輩に対して失礼ッスよ。」
「いえ、僕は気にしてないので……、」
そう言ったイエローは少しさびしげにうつむいていて…。
レッドは苦笑しながら彼女にたずねた。
「本当に?」
「え?」
「本当にそう思ってるのか?」
「………。」
レッドに促されてイエローがポツリと本音をはきだす。
「少し、傷つきました…っ」
彼女は拳を握りしめる。
悔しくて当たり前だろう。
今まで自分が信じていたものを、散々に否定されたのだ。
レッドは優しく笑い、イエローの頭をふわりと撫でた。
「悪かった。グリーンは冷たくみえるけど、ああ見えて優しい奴なんだ。許してやってくれ。」
「…なんで、レッドさんが謝るんですか?」
「んー…そういや何でだろ?成り行き?」
そう言ってレッドが笑うから、イエローもつられて笑顔になる。
「イエロー。」
イミテがイエローの名前を呼ぶ。
「きっとグリーンはイエローに傷ついてほしくないから、ああ言ったんだよ。信じてたものが無意味だって分かって、傷つかないように、ね。」
優しい笑みを浮かべながら彼女は言った。
「グリーンはそういう人だから。」
そう言って笑った彼女の笑顔は、夕日に照らされて綺麗に光る。
イエローはそれに見とれながらも「そうですね…」と返した。
「さて、と。レッド、ゴールド。イエローのことよろしく。」
「え、イミテ先輩行かないんスか?」
「私も神様とか信じてないんだ。教会とか苦手だし。」
「へー…。先輩、毎日お祈りとかしてそうなのに。」
「えー…そう?」
イミテは苦笑しながらゴールドを見て、
「あいにく、私は自分の目で見えるものしか信じないようにしてるから。」
穏やかな表情を見せた。
「宿探しとく。あ、ついでにグリーンと食料買っとくよ。なくなりかけてたよね?」
「ああ、頼む。」
「うん。」
イミテは急ぎ足で少し遠くにいたグリーンを追いかけた。
彼女が「グリーン!」と呼べば、それに気づいた彼は振り返りはしないが少し歩く速度をゆるめる。
「あの、レッドさんとゴールドさんは…いいんですか?」
「ん?ああ。興味あるって言っただろ?俺、教会って見たことねーんだ。逆にどんなとこだか楽しみだぜ?」
レッドはワクワクしながら笑った。
「俺もッス。前々から教会の中がどうなってるか見たかったんスよね。」
イエローは2人の言葉を聞き、頬を赤く染めて「ありがとうございます」と言った。
「じゃ、行くか」と早速レッドが歩き出す。
すると、
「…なーんか、イミテ先輩って大人っぽいとこありますよねー。」
ふいにゴールドがそうつぶやいた。
「そうか?」
「はい。朝の発言もそうだし、今もそうだし…。大人っぽいっつーか、芯が通ってるっつーか…。」
「ああ…確かに、な。」
レッドは肯定した。
時々びっくりするぐらい彼女が強く感じられることがある。
「そう考えると似てますね、あの2人。」
ゴールドは振り返る。
そこにはすでに追いついたらしく、並んで歩くイミテとグリーンの姿があった。
「……そうだな。」
レッドも振り返り、ただそれだけ言った。
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