17 風に誘われた香り
夢小説お名前変換こちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…シルバーが見張りをしてると言ったな。どういう意味だ?」
だいぶ話しがそれてしまったことに気づき、グリーンが質問を投げかけた。
「昨日の夕方頃、シオンタウンにいた時に、ナツメを見かけたのよ。」
「昨日の夕方って…僕達がナツメって人に会ったすぐ後ですよね?」
「あの後すぐにシオンタウンに行ったって訳か…。」
「で、」とブルーは話しを続ける。
「今はシオンタワーにいるわ。」
「シオンタワー?」
「シオンタウンにある大きな塔よ。とりあえずナツメを捕まえれば、サカキについて何か聞けると思うから。」
「分かった!ありがとな、ブルー。」
「ええ。じゃあ、あたしはシルバーのところに戻るわ。」
「もう行くのか?」
「シルバーを1人にさせておけないもの。」
その時のブルーは、弟を思う1人の姉のように、優しい目をしていた。
「見張りってハイリスクなんだからね!あんた達もなるべく早く来てちょうだい。」
「…明日の昼までには行く。」
「分かったわ。」
グリーンの言葉にブルーはうなずき、最後にひらひらと手をふってリーンと、大きく媒体である鈴を鳴らした。
瞬時に、ブルーを大量の水がつつみ、水がひいた時にはもう彼女の姿はなかった。
「便利な能力ッスねー。」
「ああ…。」
レッドとゴールドが呆然とする中、イミテはグリーンに「ねえ、」と話しかける。
「どうして明日にしたの?別に今すぐ行ってもいいんじゃない?」
「いや。タマムシからここまで、休みなしできたから疲れがたまってるだろう。少しは休息をとったほうがいい。」
「なるほどね。」
グリーンの深い考えに、イミテは感心したような表情を見せた。
「今日は修行はここまでにして宿で休む。いいか?」
「うん。あ、武器とか、足りないものある?明日はたぶんナツメと戦うことになるから買っとかないと…。」
「あの…、」
イエローがおずおずと声をあげた。
「僕、教会によりたいんですけどいいですか?」
「教会…?何かあるの?」
「教会に行くと、気持ちが楽になるっていうか…集中できるんです。」
そう言ってイエローは笑った。
実はイエローは宗教といったものに興味があり、彼女がまだ故郷―…、トキワシティにいたときも、教会にはしばしば通っていたのだ。
「へー。俺も教会ってどんなところか見てみたいな。一緒に行っていいか?」
レッド達の故郷、マサラタウンは田舎町だったため、教会はなかった。
故にどんなことをする場所なのか、見てみたいらしい。
「はい!もちろんです!」
イエローが元気よく返事をしたが、その様子を見てため息をつくものが1人。
グリーンだ。
「…くだらない。」
彼は壁に背を預け、腕を組みながらつぶやくように言った。
「え…?」
「教会なんてくだらない。神は人間が作り出したものだ。そんな空想の世界にすがりつく理由が分からないな。」
冷たい口調で言ったグリーン。
その瞳はどこか遠くを見つめているようにも思えた。
「グリーン先輩、そんな言い方しなくてもいいじゃないッスか!」
「思ったことを言ったまでだ。…そんなとこに行く暇があるなら、俺は宿で休む。」
「あ、ちょっと…、」
スタスタと歩きだしたグリーン。
.