17 風に誘われた香り
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が………、
「3、2、1…、5分たったぞ!」
ゴールドの頑張りも虚しく、レッドが終わりをつげた。
「はー!疲れたー!」
ゴールドは力尽きたようにクタッとその場に倒れ込む。
「おつかれ。」
レッドはそんな彼に、バサッとタオルを投げ渡した。
「結局勝てなかったな、ゴールド。」
「んなこと言ったって、イミテ先輩、早すぎるんスよ。」
渡されたタオルで汗をふきながら言うゴールド。
「でも、もしこれが10分間ならゴールドが勝ってたかもしれないぞ。」
「?どういう意味ッスか?」
「イミテは素早いけど持久力がないからな。」
「へー……。」
そう言われイミテを見てみると、たしかに彼女は汗は全くかいていないのに少し息を切らしていて、膝に手を置いて呼吸を整えていた。
すると、グリーンは少し呆れた様子で彼らに近づき、話しかけた。
「適当なことを言うな、レッド。何分やったとしても結果は変わらない。」
「もしかしたらって可能性もあるだろ。…グリーン、ゴールドに厳しいな。」
「そうッスよ!もっと優しく、」
「………足。」
「「はっ?」」
突然のグリーンの呟きに、レッドとゴールドの声が重なる。
「歩幅が大きい。もっと足を小刻みに動かせ。お前は無駄に動きが大きすぎるんだ。」
「!なるほど…」
グリーンの的確なアドバイスに、ゴールドは思わず感嘆の声をあげる。
自分の欠点は自分では分からない。
今まで独自で力をつけてきたゴールドにとって、第三者の目から見た自分を知れるのはありがたいことだ。
「……あと、ゴールド、集中力なさすぎ。せっかく胴体視力いいんだから相手から目、はなしちゃだめだよ。」
声が聞こえて振り返れば、そこにはイミテと、半歩後ろにはイエローが立っていた。
「あ、僕も見てて気づいたんですけど、」
「いいッスよ!どんどん言ってください!」
この先、アドバイスをもらってそれを直せば確実に自分は強くなれる。
そう思うとゴールドは嬉しくて仕方がなかった。
「ゴールドには私とイエローが教えとくから…、レッドとグリーン、修行してくれば?」
「そうだな!やるぞ、グリーン!」
「ああ。」
それぞれ、剣と刀を手にして歩き出す。
そんな彼らを目で追うゴールド。
「イミテ先輩。レッド先輩達は何やるんスか?」
「ん?たぶん能力ありの修行だと思うよ。」
「能力か…。レッド先輩が炎で、グリーン先輩が大地でしたっけ?どっちが強いんスか?」
「んー…ちょっとグリーンのが上かな。」
「でも、レッドさんもたまに勝ちますよ。」
ふわりと笑ってイエローは言う。
「たまにね。まあ…能力なしだと確実にグリーンのが強いけど。」
「なんか、へんな関係ッスね。」
「まとめると、グリーンは剣術そのものが上手くて、レッドは能力の使い方が上手い…ってとこかな。」
「なるほど。」
ゴールドは納得して、視線を2人に戻す。
お互い数メートルの距離を保ち向かい合わせで立っていた。
どうやらもうすぐ始めるらしい。
ザザッ!
どちらともなく地を蹴る音がして、次の瞬間、2人は剣を交えていた。
「は、はえー!今、何も見えなかった…。」
思わずつぶやいたゴールド。
そんな彼を見てイミテは微笑し、「すごいのはここからだよ。」と言った。
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