17 風に誘われた香り
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町のはずれの草原。
「このへんでいいか。」
そう言ってレッドは近くの木の傍らに荷物をおろした。
「さーて…、まず何からやるかー。…なあ、グリーン。」
ちゃっかりとグリーンに助けを求めるレッド。
彼ははあ、とため息を1つつき、少しして口を開いた。
「とりあえずゴールド。お前はまず見てろ。」
「えー!?俺、修行楽しみにしてたんスよ!?」
「おそらくお前がこの中の誰よりも弱い。下手に修行して怪我でもされたら困るからな。」
「何言ってるんスか!グリーン先輩は俺の本当の強さを見てないからそんなこと言えるんスよ!」
ゴールドがビシッとグリーンを指差しながら言う。
まるで挑戦状を叩きつけるみたいに。
「そーいや、グリーンは操られててゴールドが本気で戦うところ見てないもんな。」
「ゴールドさん、普通に強いと思いますよ。」
「うん。実際、昨日グリーンを助けたのも、ゴールドだしね。」
「でしょでしょ!?」
レッド達の言葉に、どーだ、という顔でグリーンを見るゴールド。
「……じゃあ見せてみろ。イミテ、相手できるか?」
「了解。」
グリーンに言われイミテは上着を脱ぎ、軽く背伸びをする。
やる気十分だ。
「え…。俺、さすがに女の子に攻撃できないッスよ。レッド先輩かグリーン先輩に…、」
「じゃ、今は私を男だと思って。いい?」
「∑無茶ッスよ!」
そんなやり取りをしていると「だったら…、」とレッドが声をあげた。
そしてバックからタオルを取り出すとイミテの腕にシュッと巻きつける。
「よし!5分以内にこれをとれたらゴールドの勝ちな。これなら攻撃しなくていいし、男も女も関係ないだろ?」
「なるほど…。」
感心したような声をあげて、ゴールドに向き合うイミテ。
「俺、能力を使った修行がしたかったんスけど…。」
「まずは基本からって言うだろ?これクリアしたらいくらでも修行につき合ってやるよ!」
「ほんとッスか!よーし…!」
拳をつくり、張り切るゴールド。
「とりあえず、私は逃げればいいってことね。おもしろそう。」
「イミテ先輩、余裕ッスね。悪いけど俺、追うのは得意なんスよ。」
盗賊をやっていたゴールドは追いかけることには慣れてるだろう。
自信満々な彼に、イミテもまた笑みをうかべた。
「よーいドン!」
レッドの声を合図に、2人はまず互いに距離をとり、イエローは時計を取り出し時間を図った。
ちなみにグリーンは腕組みをして、その力量を図るように黙って見ている。
ダッ、とゴールドが地面を蹴り、イミテの真っ正面まで来た。
かなりのスピードがある。
「よっ、と。」
そのままの早さでイミテの腕に巻かれたハンカチに手を伸ばす。
しかし、イミテはすぐにその場から後ろに下がって避けた。
「な…!」
まさか避けられるなんて…!
むしろ自分のスピードについてこられないだろうと高をくくっていたゴールドは、かなり驚いているようだった。
「(くそ…!)」
ゴールドがイミテにもう一度近づき、今度は大きく振りかぶる。
「…無駄な動きがありすぎ。」
そう声が聞こえたかと思うと、目の前にいたはずのイミテはゴールドの後ろに移動していた。
「!?」
そしてそのまま足をひっかければ、彼はズデンと派手に転ぶ。
そんな様子を見ていたイエローが一言。
「イミテさんと素早さ勝負なんて…、ゴールドさんがかわいそうな気がするんですけど…。」
そう、実はイミテは俊敏性と反射神経がすごくいい。
おそらくこの中で一番素早さに富んでいるのはイミテだ。
そんなこともつゆ知らず、ゴールドは必死にイミテに立ち向かう。
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