17 風に誘われた香り
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「グリーン!ゴールドが俺らの仲間になったから!」
その日、グリーンが目を開けて一番最初に見たのは、キラキラとした表情でそう言うレッドの姿だった。
―……コイツ、今何て言った?
まだ覚醒していなくてぼんやりとしたまま、彼はレッドの言葉を解釈しようとした。
「よろしくッス!グリーン先輩!」
その言葉の意味を理解したとき、ニカッと笑うゴールドの姿が視界のはしにうつって……、はあ、と彼は深い深いため息をついた。
「なんスか!その反応!」
「当然の反応だ。こうなった理由を最初から話せ。」
グリーンにギロリと睨まれ、レッドとゴールドは少したじろぎながらも説明を始めた。
ゴールドの過去の話、彼が雷の能力者だということ、レッド達が仲間になるのを誘ったこと。
そして…グリーンが何者かによって操られていたことを。
「操られてた、だと?」
「ああ。グリーン、急にイミテに襲いかかるから大変だったんだぜ。」
「イミテに…?」
グリーンは思わず聞き返す。
彼自身、全く身に覚えがないのだ。
そんなことを言われても信じられるはずがない。
しかしレッドはそんなに器用に嘘をつけるタイプではないし、何よりそんな嘘をつく理由もない。
故に、グリーンはレッドの言ったことを不本意ながらも信じることにした。
そして彼らしくない、動揺と焦りの色をみせる。
「イミテは…怪我したのか…!?」
グリーンがベッドから飛び起きる勢いでそう言ったのを、レッドが少したじろぎながらなだめた。
「落ち着けって。まあ…ちょっと首に怪我しただけだから。すぐイエローが治療したから傷は残ってないぜ。」
「そうか…。」
はー、と安心したように息をつく。
そんな彼の様子を見て、ゴールドは少し不思議に思った。
常に冷静で冷淡な彼が、イミテのことになると、なぜか違う反応を見せる気がする。
…まあ仲間だから、大切に思うのは当然か。
そう自己解決し、特に気には止めなかったが…。
「大変だったんだぜ、お前のこと止めるの。」
「そうそう。攻撃しても当たらないし、レッド先輩はグリーン先輩の攻撃避けきれないし。」
「おい、ゴールド…!」
「それは修行が足りないからだろ。」
「とにかく!命がけで助けたんだから、少しは感謝してよね。」
「イミテ先輩!」
イミテが穏やかな笑みを浮かべながら部屋に入ってきた。
「声はするのになかなか来ないと思ったらこんなとこで話しこんでたの?どうせならリビングで話せば?」
「イエローがお茶いれてくれたみたいだし。」と付け足して、イミテは部屋から出て行った。
言われてみれば、グリーンが起きてすぐ話しを始めたから、彼はまだベッドの上だ。
「行くか。」
「そうッスね。」
「グリーン、先行ってるから顔洗ったら来いよ。」
「……ああ。」
グリーンの返事を聞き、2人は部屋からでて言った。
「(……俺が、イミテを…。)」
自分しかいなくなった部屋で、ベッドの傍らに立てかけてあった刀を見てグリーンはポツリと心の中でつぶやいた。
…そして、グッと拳を握りしめるのだった。
リビングに集まった彼ら。
「………。」
もう一度一通りの話しを黙って聞いていたグリーンは、最後にレッドが「…って訳でゴールドは仲間な!」としめくくれば、眉間にシワを寄せた。
「何、グリーン。何か問題でもあるの?」
イミテが頬杖をつきながらグリーンにたずねる。
ちなみにここは小屋の中。
前の小屋はグリーンが壊してしまったため、また新しく作り直したのだ。
「…話しが急すぎる。」
「知ってる。分かってて言ってる。」
笑顔で答えるイミテにグリーンはまた1つ、ため息をついた。
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