16 理由は単純、君だから
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「……ゴールド、嫌じゃないのか?」
「何がッスか?」
「自分が能力者になったこと。」
レッドがそう正直に聞けば、彼は一瞬きょとんとした顔になって、すぐにニカッと笑った。
「全っ然!だってかわりに強さが手に入ったんスよ!俺にとっては嬉しいことッスよ。」
「そうか…。」
能力が開化したことを得と思うか損と思うかは本人の価値観次第だ。
「あの、ゴールドさん、さっきはありがとうございました。助けてくれて。」
治療を終えたイエローが、ぺこりとゴールドにおじぎした。
「いや、勝手にやったことッスから。」
ゴールドは照れくさそうに笑う。
「それに終わったって決めつけるのは早いッスよ。」
「え?」
「グリーン先輩を操った張本人、きっと近くにいるはずッスよね?」
「「!」」
ゴールドの言葉にイミテとレッドは顔を見合わせる。
そしてゆっくり辺りを見回した。
「ダメだ…よく見えない…。」
この辺りは草原で草が彼らの腰の高さぐらいまで生えている。
故に地面に伏せれば周りからは見えなくなってしまうのだ。
するとゴールドが元気よく声を上げた。
「先輩、俺にまかせてください!」
「ゴールドに…?」
「最近はここを拠点にしてたんで、先輩達よりは目が肥えてると思いますよ。それに…、」
ゴールドはニヤリと笑いながら言った。
「さっきから気配がぷんぷんするんスよ。何かに怯えるような気配がね!」
ゴールドはそう言うやいなや棍棒を片手に駆け出し、少し離れたところに生えていた木に向けて棍棒を突きつけた。
「でてこいよ!早くしないと無理矢理ひっぱりだすぜ?」
すると観念したように気配が動き、ガサリ、という音がした。
「……、」
緊張した面もちで出てきたのは自分達と、さほど年が離れていないであろう少女。
2本に結っている黒髪は癖癖毛なのか肩につく程度の高さでハネている。
そしておびえるようにレッド達を見つめるその瞳は、水晶玉を入れたような、透き通った色だった。
「え、女の子…?」
イミテが驚きながら彼女を見つめる。
「お前、何者なんだ…?」
ゴールドがそう聞けば、彼女はびくりと肩を大きく震わせて反応した。
その拍子に、彼女の両耳にはめられているイヤリングがほんのり揺れる。
「あの、私、」
彼女が何かを言いかけた瞬間、
「何をしている。」
また別の女性の声がした。
ぶわ、っと一陣の風があたりの草を揺らし、現れたのは1人の女性。
腕を組み長い黒髪を揺らしながら……宙に浮いていた。
「な…コイツ浮いてる!?」
突然の出来事にゴールドは少し距離をとる。
その様子を見て女性はフンと鼻をならすと、少女を軽く睨みつける。
「光の能力者は始末したのか?」
「い、いえ…。」
「……役立たずが。」
女性は冷たく見下ろしそう言い放つ。
少女の体がまたびくりとはねた。
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