16 理由は単純、君だから
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「くそ、今度はイエローが…!」
安心している暇はない。
すでにグリーンはイエロー達の目の前にいた。
「大丈夫だよ、レッド。あの蔓は刀なんかじゃ簡単に斬れないか…ら…!?」
イミテは目を疑った。
グリーンは蔓のだいぶ手前で刀をふり、その軌道にのせてさっきレッドがおこした炎をはこんだのだ。
風に運ばれ炎が蔓のドームに引火する。
「そんな…!」
ドームはあっという間に燃え尽き、グリーンはイエローに刀を向けた。
「イエロー!」
「イエロー、逃げろ!」
レッドとイミテが必死に叫ぶ。
「に、逃げませんっ!」
イエローはふるえる口調で言った。
「グリーンさんは仲間なんです!ほうっておけません!」
「………。」
しかしその声はグリーンには届かない。
彼はただうつろな目をしたままイエローに刀を向けている。
「何なんだよ、アンタ。」
すると、ゴールドが棍棒を構えて、庇うようにしてイエローの前に立った。
「何で心配してくれてる奴に刀向けてんだよっ…」
「ゴールドさん!グリーンさんは操られてるだけで…、」
「分かってるッスよ、そんなこと。」
ゴールドはグリーンを勢いよく睨みつける。
「分かってるけど、俺は仲間を裏切る奴は許せねえんだ……!」
そのとき、ピリピリとゴールドの棍棒の先にかすかな電流がはしった。
しかし当の本人は感情的になっているため全く気づいていない。
イミテもレッドも離れた場所にいたため見えなかったようで、ただすぐそばにいたイエローだけがその変化に気づいた。
「ゴールドさん、あの、」
「イエロー先輩は黙っててください…!まきこみたくないとか言われても俺、ひかないッスから。」
「そうじゃなくて、」
イエローがその事実を伝える前にゴールドはグリーンに向かってかけていった。
「うりゃあああ!」
彼のおたけびとともに剣と棍棒が激しくぶつかる。
するとバリバリ!っと激しい電流があたりにはしった。
「え…電気!?」
「何だ、あれ…。」
それは離れた場所にいるレッドとイミテにも確認できるほどのもの。
「「あ!」」
思わず2人の声が重なった。
先ほど生じた電気によってグリーンの背中についていたお札がペラッとはがれ落ちたのだ。
直後、グリーンの体ががくりと崩れ落ちる。
「は…!?」
自分は何もしてないのに、急に相手が倒れた。
何がどうなったのか分からない。
しかも自分の武器からは電流のようなものがでている。
突然の出来事にゴールドは動転していた。
一方、イエローはグリーンの体を揺さぶっていた。
「グリーンさんっ!」
しかし何度呼びかけても起きる気配はない。
「ゴールド!イエロー!」
そんな彼らにレッドとイミテが駆け寄った。
「イミテさん!グリーンさんが目を覚まさないんです!」
慌てるイエローの頭をポンと撫でると、イミテはかがんでグリーンの首筋に手を当てる。
「呼吸は普通だから気を失ってるだけだよ。そのうち起きると思う。」
「よかった…。あ、イミテさん、傷治します。」
「うん、お願い。」
イミテの首筋にできた傷を、イエローが丁寧に癒やしていく。
レッドはその始終を見届けると「ゴールド、」と、呆然としていた彼の名前を呼んだ。
「…はい、」
「お前、雷の……」
「雷の能力みたいッスね、これ。」
そう言ってゴールドが棍棒を振り回せば、また微量の電気が辺りにはしる。
「はは、まさか俺が能力者だなんて…。レッド先輩達とおそろいッスね。」
不思議なことに彼は能力者であることにショックはうけていないようだ。
むしろいつものおどけた笑顔を見せていた。
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