16 理由は単純、君だから
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「レッド先輩、」
事実を知ったゴールドは改めてレッド達に向き合い、名前を呼んだ。
「じゃあ先輩達は、政府から逃げる為に旅してるんスか?」
ゴールドは出会った時からずっと、彼らのことを不思議に思っていた。
実力のある彼らならそれなりの仕事にもつけるはずなのに、わざわざ旅をして不安定な生活をしているのはおかしい、と。
だが、彼らが能力者と分かった今ならそれも納得できる。
「まあ…それもあるけど…、……ある奴のことを追ってるんだ。」
「ある奴…?」
ゴールドが思わず復唱すると、レッドは一拍おいてその名前を口にした。
「……名前は、サカキ。聞いたことあるか?」
ゴールドは盗賊だから出会った旅人からたくさんの情報を得ているに違いない。
レッドはそんなことを頭の片隅でぼんやりと考え、少し期待しながらゴールドの答えを待った。
そして、その考えはあながち間違いではなかった。
「サカキ……。どっかで聞いたことがあるような…。」
「ほんとか!?」
ゴールドは腕組みをして「うーん……」とうなりながらしばらく考えると、「あ!」と突然声をあげた。
「確かこの前会った旅人が、仮面の男とサカキはぐるだから気をつけろって言ってたッスよ!」
「仮面の男……?」
「今、町の一部で噂になってるんスよ。“子供達が仮面の男にさらわれてる”って、ね。」
ゴールドの言葉にレッドはよく分からないと言った顔をしていたが、イミテはピクリと反応した。
「レッド。それってブルー達が探してる人なんじゃない?」
「え……あ!そういえば、仮面をかぶった男って言ってたな!」
「ゴールド、もっと詳しく聞かせて。その男、今どこにいるの?」
「……うーん…なんつってたっけ……」
ゴールドはまた考えこむ。
「たしか…「イミテさん!!」
ゴールドが口を開いた瞬間、イエローの大声があたりに響いた。
「どうしたの?」
「蔓が……蔓が緩んでます!」
「え!?」
イエローの視線をたどれば、確かにグリーンの動きを止めていた蔓がズルズルと動いていた。
「どうしたんだよ、イミテ!」
「違う…、私、何もしてない…!」
イミテはそう言いながら、弓をグッと握り、心の中で止まれと強く念じる。
いつもならこうすることで能力を制限できるのだが……。
「!?何もおきない……!?」
特に変化することはなく、グリーンの体はだんだんと自由になっていく。
それを見たイミテはポツリと呟いた。
「蔓が…操られてる…」
「そんな…!」
蔓は瞬く間にグリーンの体からなくなって、全ての蔓がなくなった頃にはグリーンがバッと顔を上げた。
「…っ!とりあえず外に出るぞ!急げ!」
こんなに狭い部屋では戦いずらい。
レッドの言葉を合図に皆走り出した。
何とか全員外に出ることができ、ホッと胸をなで下ろす彼ら。
グリーンはまだ追ってきていない。
「レッド、ずっと逃げてるワケにはいかないよ。」
「分かってる。でも原因が分からないんじゃどうしようもできないしな。」
「とにかく隅々まで探してみよう。何かあるはずだから。」
「ああ。」
彼らは今自分達が出てきた小屋に視線を向ける。
次の瞬間、ゴゴゴ…という大きな音が辺りに響いた。
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