16 理由は単純、君だから
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輝きが全く感じられない、その目。
感情のない、その表情。
そこにいたのはグリーンでありグリーンでない。
変な表現だが、これが一番しっくりくる。
まるでグリーンという器にはいった冷酷で強大な化け物のような、そんな気がした。
「………。」
「…っ…!」
光の宿っていないグリーンの目は、すぐそばにいたイミテの姿を捉える。
そして彼は大きく刀を振り上げると、そのまま真っ直ぐと振り下ろした。
「く…!」
イミテはとっさに床を蹴り、ギリギリのところでそれをかわす。
安心したのもつかの間、グリーンはまた刀の切っ先をイミテに向け、攻撃しようとしている。
「ちょ……グリーン!」
その呼びかけも届かず、刀が振り上げられる。
その直後イミテの視界いっぱいに見慣れた背中が映った。
すぐ後にはカキン、という高い金属音が響く。
「レ、ッド…」
レッドが、グリーンとイミテの間にすべり込むように割りこみ、己の剣でグリーンの刀を止めていたのだ。
「イミテ!距離をとれ!」
「う、うん!」
レッドが攻撃を防いでいるすきに、イミテは言われた通りイエロー達の方へ移動した。
「イミテさん、お怪我は!?」
「大丈夫。ギリギリだったけどね。」
そう苦笑いを浮かべるイミテの額には冷や汗がうかんでいる。
それもそのはず、何せ相手はグリーンなのだ。
瞬発力が自慢の彼女も、洗練された剣術をたしなんでいるグリーンの攻撃を避けるのは容易ではない。
「っ……!」
それは剣の押し合いをしていたレッドも同じことで、必死に攻撃を防いでいた。
「グリーンさん…何でこんなことに……。」
「寝ている間に何かがあったとしか考えられないね…。レッド、どうする!?」
「……っ!」
レッドは一瞬の隙をついてグリーンの刀を振り払い、サッとイミテ達の元にもどった。
「とにかく、この状況をなんとかしないと…!イミテ、グリーンの動きを止められるか?」
「弓があればできるけど、寝室に置きっぱなし…。」
足止めにはイミテの緑の能力が一番適している。
しかし弓がある寝室へ行くには、グリーンが立っているドアを通らなければいけないのだ。
「よし…、俺がグリーンの動きを止めるからイミテはその隙に弓をとってきてくれ!」
「でも…、」
イミテが言葉を濁したのには理由があった。
レッドとグリーンは腕がなまらないようにとたまに能力なしで剣をまじえているのだが、レッドが勝てた数のほうが少ないのだ。
能力がありならばレッドのが有利なのだが、この木でできた小屋の中で彼の炎の能力は使えない。
「大丈夫だ!少しぐらいなら持ちこたえられる…!」
そんな確信はどこにもない。
しかし話している間にグリーンが刀を構えなおし、今にもこっちに向かってこようとしている。
とにかく今頼れるのはイミテの緑の能力しかないのだ。
「…分かった。」
イミテ自身もそれをよく分かっているため、大きく頷いた。
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