15 裏切りの傷跡
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「…ちょっと待って。ゴールド、さっき旅人からは盗まないって言ってたのに…私達に攻撃してきたよね?どうして?」
「……それは、」
ゴールドは、イミテの目をジッと見た。
金色の瞳が月明かりの光によって、さらに鋭く光る。
「……イミテ先輩が、軍人だからッスよ!」
そう言うとゴールドは素早く後ろにさがり、イミテと距離をとると棍棒を構えた。
「……っ!」
予想もしていなかった行動。
イミテも思わず身構えるが、ゴールドが棍棒を持っているのに対し、彼女は素手。
明らかに不利だ。
「軍人?バカなこと言わないで。軍服も何も着てないじゃない。私、ただ旅してるだけだから。」
「ごまかそうったってそうはいかねえ!アンタの矢のホルダーのタグに、軍の紋章が入ってるんだよ!」
「ホルダー、に…?」
うかつだった。
ニビシティをでて、服から靴まで装飾品はすべて買いそろえたのだが、ホルダーにまでは注意がいかず、軍にいた時のままなのだ。
「ゴールド、これには理由があって……、」
「この状況で言い訳しようっていうのか?たいしたもんだぜっ!」
「っ!」
言い終わらないうちに、ゴールドはイミテに攻撃をけしかける。
イミテはギリギリのところでそれをよけた。
さっきまでイミテがいた地面は、棍棒があたり、バキッという音をたてて軽く地割れをおこしている。
「(これがゴールドの本当の実力……。)」
昼間はイミテ達を騙すために、わざと弱いふりをしていたようで、
力も速さも、昼間とは比べものにならないぐらい、強力なものだった。
「ゴールド聞いて!」
「今さら言い訳しようってか?」
ゴールドは攻撃を止めようとしない。
「…っ!聞け!!」
思わず声を張り上げたイミテ。
その気迫にひるんだのか、ゴールドは一瞬、動きを止めた。
「私は…!確かに、少し前まで軍隊にいた…!」
「…やっぱりな、」
ゴールドが再び攻撃しようと棍棒を構えなおす。
「………。」
「っ…!」
でもイミテが無言のままこっちを見ていて、その強い瞳に動くことをためらった。
「今は、軍人じゃない。逃げてきたの。」
「……証拠は?」
「ない。……でも信じてほしい。」
真っ直ぐゴールドを見つめるイミテ。
その瞳を見ていたら、彼女が嘘をついているとは思えなくなってきた。
「……。軍にいたって言ってたけど、女は普通軍人にはなれないだろ。」
今までいろいろな軍隊を見てきたが、女の軍人は一度も見たことがない。
だからそのまま襲う訳にもいかず、ゴールドはイミテ達の警戒心をとき話を聞き出すため、彼らとの接触をはかったのだ。
…まさか自分の過去の話をすることになるなんて、思ってもいなかったが―…。
「何で軍人になれたのか、教えろよ。」
「それは…、」
イミテが軍人になれた理由はただ1つ。
能力者としてその戦闘能力をかわれたから。
それをゴールドに言っていいものか、イミテは迷った。
事実を聞いた後の彼の反応は全く予想できない。
イミテはぼんやりとカスミのことを思い出していた。
イミテ達が能力者だと分かったとたん、態度を豹変させた、彼女のことを……。
「人の過去は聞いたくせに、自分のことは話さねえのかよ。卑怯な奴。」
「………。」
……ゴールドの言うとおりだ。
そう、思った。
「…分かった。話すよ。私は、」
イミテが口を開いたとき、ドサッ、とゴールドがその場に倒れた。
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