15 裏切りの傷跡
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しばらく歩いて家に着いたゴールド達。
ゴールドは慣れた手つきで門を開けた。
「ハヤトさん!今日こそは家に寄ってくださいよ!母さんもきっと会いたがってるんで。」
「……ああ。お邪魔しようかな。」
ハヤトの表情は相変わらず暗い。
いや、暗いというよりは思いつめたような表情だ。
それも不思議だったが、ゴールドにはもう1つ気がかりなことがあった。
家中の電気が消えていたのだ。
確かに使用人はもう帰っている時間だが、ゴールドのは母がこんなに早く寝ることは、まずない。
そして彼女は病院に行くとき意外、出かけることもない。
(だったら、…なぜ?)
「母さーん?」
ゴールドは玄関を開け乱暴に靴を脱ぐと、そう大声で呼びかける。
しかし返事も、ましてや自分の足音以外の物音すらも聞こえない。
「おっかしーなー。ハヤトさん、ちょっと待っててください。」
「…ああ。」
電気をつける間も惜しんで、ゴールドは二階への階段を登っていった。
一段一段足を進めるごとに、彼の不信感は徐々に不安へと変わっていく。
「……。」
思わずゴクリと、喉をならす。
……でも今は自分だけじゃない。
すぐ近くの玄関にはハヤトがいる。
その事実が少しだけ彼を安心させていた。
ようやく母の部屋の前まできたゴールド。
日頃彼女に「部屋にはノックをしてからはいりなさい」と言われていた彼だが、そんなの一度も守ったことがない。
そしてこの時も、いつものように、ノックもせずスッとドアを開けた。
「母さん…?」
やはり部屋は真っ暗であまりよく見えない。
電気をつけようと、壁に手を当てながら歩き、スイッチを手探りで探す。
スイッチを見つけるより前に、
「うわ…!?」
暗くて足元が見えなかったために何かにつまづいて転んでしまった。
ドサッと床に倒れるゴールド。
「(え……?)」
すぐに彼を違和感が襲った。
転んだひょうしについた左手には、なぜかドロッとした液体のような感覚。
「なんだ、これ…?」
目を凝らしては見るが、やはり暗さの為によく見えない。
「とにかく電気電気…、」
彼は立ち上がり、また手探りでスイッチを探す。
今度は意外とすぐ見つかって、カチッとスイッチを入れた。
急に部屋が明るくなって、まぶしい。
一瞬目を細めて、慣れてきたところでゴールドは辺りを見回す。
そして、彼は見つけてしまった
(自分の足元に横たわる、)
(変わり果てた母親の姿を)
「……か、あさん?」
床は赤い。
それが血だと気づくのには少し時間がかかった。
さっき俺がつまづいたのは、母さん……?
この血は、母さんの…?
今、ここに、横たわっているのは…、……母さん――……?
「……あ……ああああああ……、」
全てが頭の中でつながった瞬間、彼は思わず後ずさりした。
しかしすぐ後ろには壁があり、彼はそのまま壁に体をあずけ、ズルズルと床に崩れおちる。
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