14 越えられない憧れ
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「棍棒、か。」
「ゴールド、剣に興味あるのに棍棒が武器なの?」
「はい。昔は剣のが興味あったんスけどね。それに、やっぱこっちのが手加減はしやすいんで。」
「盗賊なのに手加減するのか?」
「当たり前ッス!物は盗んでも、殺すことはしませんよ。」
たいていの盗賊は相手を傷つけてでもものを奪おうとするものだ。
ゴールドの言葉は盗賊らしくないが温かさが感じられるもので、レッド達は優しく笑った。
「俺、棍棒の使い方っていまいち分かんねーや。それなりに力いるのか?」
「まあ重さにもよりますけどね。でも基本的には槍術とか剣術とかと同じなんで、レッド先輩なら練習すればすぐ使いこなせるんじゃないッスか?」
「へー…。じゃあ今後やってみるかな。ゴールド、お手本見せてくれよ!」
「いいッスよ!」
そう言ってゴールドが棒を片手に立ち上がった時、「ふわぁ…。」とイエローが大きなあくびをした。
皆の視線に気づき、彼女は少し赤くなってすいません、と俯く。
「はは!イエローも眠そうだし、寝るか!」
「そうだね。あんまりうるさくしてグリーンが起きても困るし。」
「え?どうもいないと思ったら、アイツもう寝てるのか?」
「うん。…疲れたんじゃないかな?」
なぜか、イミテがにっこりと満面の笑みをうかべて言う。
グリーンは今日、崖に階段を作ったり、レッドを崖上に持ち上げたり、かなり能力を使った。
それに加え、前日の寝不足。
疲れがたまっていても無理はない。
「じゃあ、俺らも寝ようぜ。」
レッドがそう言い、皆床につくことにした。
「…っん……」
真夜中、イミテは喉の渇きを覚えて目を覚ました。
隣を見ればイエローがすやすやと眠っている。
その様子を見て軽く微笑むと、イミテは静かに寝袋をでて外にでた。
川で鍋いっぱいに水をくんで、マッチで薪に火をつけてお湯を沸かす。
その間に手際よく、鍋の中に細かく刻んだ草を入れていく。
なんてことない、いつもと同じ動作。
以前からイミテは目が覚めてしまったときなど、こうして薬草入りのお茶を飲んでいたのだ。
お湯を円を描くようにかき混ぜれば、薬草から作ったとは思えない、優しい香りがあたりに漂う。
そろそろいいだろう、と思った彼女はそれをコップに入れようとしたのだが…、
ギイ…
というドアのきしむ音がしたため、慌てて火を吹き消した。
「(誰…!?)」
別に悪いことをしている訳じゃないし、見つかっても何ともない。
でも、おかしい、と思った。
普段レッドもイエローもこんな深夜には起きてこないし、グリーンは今日はぐっすりと言っていいほどよく寝ているはず。
だとしたら考えられるのは……、
「………。」
イミテが息を潜めていると、案の定、外に出てきたのはゴールドだった。
イミテは小屋の脇でお湯を沸かしていたため、ゴールドは気づかず素通りして川へと向かった。
「(……なにしに行ったんだろう…。)」
イミテはしばしの間ゴールドの背中を見送っていたが、ふと我にかえるとお茶を2杯、カップにそそいだ。
それを両手に、ゴールドの後を追う。
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