14 越えられない憧れ
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「何?あれ?」
「おい、お前ら。有り金全部置いていけ。そうすれば命だけは助けてやろう。」
体格のいいその男達は鼻を鳴らしながらそう言った。
どうやらレッド達をかなり見下しているようだ。
「…盗賊のようだな。行くぞ。」
グリーンが無視して再び歩き出す。
そして盗賊とのすれ違いざまに、彼の喉元にキラリと銀色に光るものが突き出された。
「我々を無視する気か?動くと斬るぞ。」
それが盗賊の脅しだとわかるとグリーンはチッと舌打ちをし、刀に手をかけた。
「こっちのセリフだ。斬られたくなかったらどけ。」
「~っ!このガキが!なめやがって!」
全くひるむ様子もないグリーンに、1人の男が剣を思いっきり振り下ろした。
しかし彼には何の外傷もない。
「……え?」
盗賊が慌てて手元を見れば、自分の剣がなかった。
「あ。この矢、前のよりとびやすいかも。」
少し視線をずらせば、弓を構えるイミテの姿。
「ま、まさか!弓矢で剣をとばした…!?」
イミテはあの一瞬の間に動く敵に弓を命中させていたのだ。
背後からグサッという音がして振り向けば、弾きとばされた剣が盗賊の後ろの地面にささっていた。
「そ、そんな…!逃げろっ!」
力量の違いに怯えたのか、盗賊達は主格と思われる男の一言で一斉に元来た道をかけていく。
「逃がすかっ!」
レッドはそんな彼らを追いかけて、次々に峰打ちしていった。
「くっ…コイツら、強…!」
あっという間に倒れた盗賊達。
「レッド、行くぞ。」
動けなくなった盗賊を尻目に、グリーンは足を進めた。
「これにこりたら盗賊なんて止めろよ。」
レッドもニカッと笑い、そう言い残すと歩き出す。
てっきり仕返しをされるかと思っていた盗賊たちは、呆気にとられた様子でレッドの後ろ姿を見送っていた。
彼らが見えなくなったあと、
「あっぶねー…。見つかるかと思った。」
近くの草むらでガサガサと人影が動き出した。
それはさっきレッドが不審に思い、確認しようとした草むら。
「あの2人の剣士は要注意だな。弓矢使いなら…女だし力でおさえられるか。」
黒髪の、癖のある前髪が特徴的なその少年は、愛用の棍棒をグッと持ち直すとレッド達の後を追った。
「あ、川ですよ!」
盗賊達に襲われてからしばらく歩いたところで、イエローが嬉しそうに言った。
「ほんとだ。案外近くにあったね。今日はここに泊まろっか。」
イミテは川の近くに荷物をおろす。
水があればお風呂にも入れるし、ご飯の支度も楽だしいいことづくしだ。
それに何より辺りは夕日に照らされオレンジ色になっている。
もうすぐ夜になる。
これ以上進むのは危険だ。
「俺とレッドは木を拾ってくる。」
「じゃあ私とイエローは…お米の準備でもしてる?」
「はい!」
イエローと笑いあっていたイミテを見ながら、レッドは心配そうに言った。
「盗賊には気をつけろよ。」
しばしの静寂の後、イミテはレッドのほうを振りかえった。
「……え、まさか私に言ってる?」
「あ、当たり前だろ!」
他に誰がいるんだ、と思いながらレッドが返すと、イミテはあはは、と笑いだした。
「大丈夫だよ。もし襲われたら返り討ちにするから。」
「そりゃあ心強い…。」
余裕たっぷりの彼女に、レッドは苦笑した。
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