01 かごの中の鳥
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ピュッと、どこからか1本の矢が飛んできて、少女の真横を通り抜ける。
「!?」
地面に刺さったその矢からは蔓(つる)がでて、あっという間に少女の体に巻きついた。
「(動けない…!これが…緑の能力…。)」
身動きを封じられ、少女の額に冷や汗が伝う。
しばらくして近くの草むらからイミテが姿を現し、ゆっくりと少女に近づいた。
「君…、どうやってここまできたの?」
「……。」
「ここに来るまでたくさんの軍隊がいたでしょ?」
腕も細く、肌も白い。
こんな見るからにか弱い少女が、あんなに大勢の軍隊を倒せるとは思えない。
そして…まさか、あのタケシまでもを振り切るなんて…。
「……。」
少女は警戒しているのか、フイッと顔をそらし黙り込んだまま。
そんな少女の様子を見て、イミテは優しく微笑む。
「正直に話せば、助けてあげるよ。」
「!」
イミテのその言葉に…少女は顔をあげた。
ジッと、彼女の顔を見れば、…温かい、優しい表情をしていて…。
「…麻酔銃を、」
少女はゆっくりと口を開く。
「…麻酔銃を使いました……。撃つと煙がでて…皆、眠るんです…。」
「侵入者は捕まれば牢屋行きだって知ってるでしょ?しかも君はここ…Sエリアまで来ちゃったから死刑確実だよ。」
「………。」
「…どうしてこんな危ないことしたの?」
「………。王が、憎くて…!」
ギリッと、少女は怒りに満ち溢れた表情になる。
「私の故郷である森は…アイツに燃やされました…!だから復讐してやろう、と…!」
イミテはそんなイエローの様子を見て黙っていたが、……やがてポンと頭をなでた。
「え…、」
「君、名前は?」
「イ、イエロー…!イエロー・デ・トキワグローブ……です!」
イミテはそれを聞いて、ベルトホルダーからトランシーバーを取り出すと手とって耳に当てた。
「Sエリアにて侵入者1名確保。名はイエロー・デ・トキワグローブ。所持していた武器は麻酔銃。」
淡々と話すイミテにイエローはポカンとしていたが、やがて状況をのみこみ、声を張り上げた。
「正直に話したら助けてくれるって言ったじゃないですか!」
「……。」
イミテはチラリとイエローのほうを見る。
口を開きかけたその時、ぞろぞろと他の軍人がやって来た。
「コイツか?侵入者は。」
「…はい。」
イミテがグッと弓を握れば、蔓が緩んでイエローは解放される。
しかし休む間もなく、今度は軍人達に手錠をかけられた。
イミテはその一連を見届けて、スタスタと歩き出す。
「アナタのこと…信じたから話したのに…!」
イエローは、イミテの背中に投げかけるように叫ぶ。
「…人は、そんなに簡単に信用するもんじゃない。」
振り返ってそう言ったイミテの目は、とても冷たかった。
イエローは思わず、ビクリと身震いする。
さっき見せたやわらかい表情とはまるで別人…。
怖いぐらいの冷たい目つきだった。
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