14 越えられない憧れ
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慎重に、でも少し急いで自身の能力で作った階段を降りていけば、案の定、そこには男女2人の人影があった。
少年のほうは崖にもたれかかるように座っていて、少女のほうはそんな少年に体を預けるようにして寄り添っている。
「……。」
それにしても、2人ともよく眠っている。
なんて緊張感のない奴らだ…。
「(全く、こいつらは…)」
グリーンは軽く舌打ちをして、少年……レッドの頭を軽く叩いた。
「うぉ…!?いって…」
レッドが突然の衝撃に思わず体を動かせば、必然的に寄りかかっていたイミテにも衝撃が伝わり、目を覚ました。
「ん……何?朝?」
まだ寝ぼけ眼の彼女に、グリーンは落胆する。
「……グリーン…。あ。」
ようやく自分達の身に起こったことを思い出したのか、イミテは立ち上がった。
「助けにきてくれたの?ありがとう。」
「……何でこんなところにいるんだ。どれだけ心配したと思ってる。」
ピリピリとした空気が伝わってくる。
グリーンが怒っていることに気づき、レッドもイミテも気まずそうに顔を合わせた。
そして、これ以上彼を刺激しないように言葉を選びながら話し始める。
「あの…弓が、崖に落ちて、追いかけたら私まで落ちちゃって…。」
「…で、それを追いかけて俺も落ちた……。」
何とも簡潔な説明だが、言っていることは事実。
「何で2人して落ちるんだ。バカか。……それに弓は崖の上にあった。」
「「!」」
“弓は崖の上にあった”
その彼の言葉に、イミテもレッドも目を見開く。
「やっぱり…不自然だ。」
「うん。私、確かに弓が落ちていくとこ…見たし。」
意味深長な彼らの言葉にグリーンは眉をひそめた。
「…詳しく説明しろ。」
「ああ。…その前にここから上がろうぜ。」
「そうだね。グリーン、私の弓、今ある?レッド、足怪我してるから蔓で上まで、」
イミテがそう言いかけた途端、グリーンがまた刀を地面に突き刺した。
「うわっ!?」
するとレッドの足元の地面が浮き上がり、あっという間に崖上へと到着した。
「レ…レッドさん!?」
崖上からはさぞ驚いたようなイエローの声が聞こえる。
それもそのはず、探していた人物が突然現れたのだから。
「これで問題ないだろ?」
グリーンはしれっとしながらイミテにたずねる。
「…お見事。」
いつもより少し乱雑にも思えるグリーンの行動に、イミテは少し困ったような笑みを返した。
そのあと、イエローが光の能力でレッドの傷を治し、イミテ達も崖に落ちた理由を詳しく話した。
もちろん、不自然に動いた弓のことも。
「第三者による仕組まれたものだろう。」
一連の話しを聞き、グリーンはそう言った。
「やっぱりグリーンもそう思うか?」
「でも何が目的だったんでしょう?イミテさん達のことを能力者だと分かってて狙ったなら、傷つけずに捕まえようとするはずですよね?」
能力者を生け捕りにした者には政府から褒美が与えられる。
そんなのは今やこの国の常識で誰もが知っていること。
野放しになっている能力者を殺そうとするなんて者は、めったにいないはずだ。
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