14 越えられない憧れ
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翌日。
まだ夜が明けきってなくて薄暗いなか、グリーンは寝袋からでて上着を羽織った。
そして隣で寝ているイエローを起こさないように、ランプに火を灯す。
「う…ん…?」
なるべく静かにその作業をやっていたのに、その光りがまぶしかったのかイエローが目を覚ました。
「グリーン、さん…?」
「悪い。まだ少し寝てろ。」
グリーンはそう言うとランプを持って立ち上がった。
「レッドさんとイミテさんのこと探しに行くんですか…?僕も行きます!」
「いや、いい。お前はここで荷物をみてろ。」
「…グリーンさん、昨日ほとんど寝てないでしょう?そんな状態で行っても危険ですよ。」
そう…あのあとすぐに休んだはいいが、グリーンは一睡もしていなかった。
イエローはちょくちょく目を覚まし、物思いにふけっている彼の様子を見て心配していたのだ。
「僕と一緒に行くか、このまま朝まで眠るか、どっちかにしてください!」
キッと彼を睨み、そう言ってのけた彼女。
まだグリーンとイエローは出会ってから日が浅いうえに、今まであまり話す機会もなかった。
よく知らないからどう接していいか分からないものの、イエローはイエローなりに何とかしようとしているのだ。
「…好きにしろ。」
グリーンもグリーンで彼女のことはよく知らない。
でも彼女が自分のことを心配していることはよく分かる。
「言われなくても、そうします…!」
ほんの少し憎まれ口にも思える返事を聞いて、グリーンは気づかれないようにフッと笑うと歩きだした。
自分の後ろから聞こえる、小さな足音を聞きながら。
やはりまだ薄暗いうちに探しに来て正解だった。
グリーンはそう痛感した。
彼の足元には、イミテの弓。
微かな月明かりを受けて、弦が銀色に光っていたのだ。
「これ…イミテさんのですよね!?」
イエローもそれに気がつき声をあげる。
グリーンは静かに辺りを見回した。
すぐ近くには崖がある。
崖下を見てみるが、暗すぎて何も分からない。
「イミテさーん!レッドさーん!」
イエローも崖下に向かって叫ぶが、返ってくるのは崖で反響した自分の声のみ。
「うーん……いないんでしょうか?」
複雑そうな表情をうかべるイエローに、グリーンはイミテの弓と自分の上着を手渡した。
「え…?」
「持ってろ。様子を見てくる。」
「こんな急な崖、降りられないですよ!」
慌てるイエローの言葉を無視し、グリーンは愛用の刀を鞘から抜くと、地面に突き刺した。
ゴゴゴ…と地面の奥深くから地響きのようなものが聞こえてくる。
「や……!」
一瞬、大地が大きく揺れ、イエローはその場に転ぶ。
彼女が次に顔をあげたとき、すでにグリーンの姿はなかった。
「グリーンさん!?」
驚いて崖下を見下ろせば、何やら土で出来た階段のようなものができている。
「あ、能力を…使ったのか…。」
イエローは状況を理解してほっと胸をなで下ろした。
……一言ぐらい言ってくれてもいいのに…。
イエローは少し拗ねたような表情になり、次に盛大なため息をついた。
どうやら彼と仲良くなるには、まだまだ時間がかかりそうだ―……。
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