13 知って、知って、私のこと
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「よっ…、いてて…。」
イミテがどこかへ行ってすぐ、レッドは足の痛みを我慢して木の枝を拾っていた。
イミテには動くな、と言われたが、かといって何もしないで待っているのもなんだか嫌だった。
木の枝が数本集まり、レッドは満足気に笑った。
そして剣を抜くと自身の能力を使ってそれに火をつける。
火は木に燃え移り、ボウっと眩い明かりが辺りを照らした。
「いっ……!」
火がついて気をぬいたからか、足に激痛がはしって、レッドはその場に座りこんだ。
痛みと格闘しながら、彼はぼんやりと燃える炎を見つめる。
「(イミテ、遅いな…。)」
止めなかったことが、今更不安になってきた。
彼女は今、武器を持っていない。
こんな崖下…可能性は低いかもしれないけど、もし…敵に襲われでもしたら…?
「(やっぱ様子見に行くか。)」
力をふりしぼって立ち上がろうとした時、
「レッド!」
今まさに探しに行こうとしていた彼女が、ひょっこりと戻ってきた。
ほっとしたのもつかの間、レッドはイミテを見て唖然とする。
別れる前より身体のあちこちに傷が増えていたからだ。
「イミテ!その怪我…、どうしたんだよ!?」
「ん?ああ…ちょっと。」
彼女は笑って話しをはぐらかす。
次いで、思いだしたようにキッとレッドを睨んだ。
「それよりレッド、今動こうとしてたでしょ!怪我してるのに火までつけて…、もう。」
「いや、だってこんなに暗いと何かと不便だろ。それにイミテが何も言わずにどっか行って、なかなか帰ってこないから心配だったし。」
「すぐ戻るつもりだったんだけど、思ったより手間取っちゃって。ただ、これ取りに行ってただけ。」
イミテはレッドに自分の腕の中にあるものを見せた。
「え……草?」
「うん、薬草。あっ、いそがないと。ちょっと待ってて。」
イミテは辺りを見回し近くにあった拳大の石を掴むと、焚き火にかざした。
「何やってんだ?」
「殺菌。…よし、もう1つも…」
レッドのさらりとそう返し、イミテは他の石も同様に火にかざした。
今度はその石の上に先ほど取ってきた草をおき、もう1つの石でゴリゴリとすりつぶしていく。
細かくなったところで止め、それをレッドの膝に押し当てた。
「へ?なにしてんだ?」
「止血しようと思って。…ちょっと染みるけど我慢してね。」
イミテはそう言って薬草を当てたレッドの膝に、ハンカチをかぶせる。
そして先ほど摘んできた白い花を取り出すと、ギュッと片手で絞った。
「いっ…!」
絞り出た花の密がハンカチに落ちてその下にある草…そして必然的に膝の傷口に染みこみ、レッドは顔を歪めた。
イミテは手際よくハンカチを膝に固く巻きつけ、優しく微笑んだ。
「これで血は止まるはずだよ。即効性のあるやつだからすぐに効くと思う。あくまで応急処置だけだから、あとでイエローに傷ふさいでもらって。」
「あ、ああ…。」
淡々と話す彼女にレッドは唖然としながら返事をした。
「?どうかした?」
「いや…イミテがそんなに薬草に詳しいなんて思わなかったからさ。」
「ああ…そっか。」
イミテはどことなくさびしげに笑うと、静かにレッドの隣に並んで座る。
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