13 知って、知って、私のこと
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「………。」
イエローはさっきから険しい表情をしているグリーンを見て、余計なことを言ってしまった、と後悔していた。
でも突然彼女がこんなことを言い出したのは、決してグリーンを困らせたかったからではない。
ただなんとか彼に休息をとって欲しかっただけなのだ。
グリーン自身は気づいていないが、長時間歩き続けていたせいで、彼の疲労はめにみえていた。
「あの、グリーンさん…ごめんなさい……。」
彼の為を思ってとった行動が、まさかこんなに彼を悩ませてしまうなんて思ってもみなかった。
イエローは本当に申し訳なく思い、俯いたまま謝った。
「いや、いい。…確かに、今日はもう休んだほうがいいな。」
いろいろと思考をめぐらせているうちに、少し冷静さを取り戻したグリーン。
そう言うと、次いで、寝床の準備を始めた。
しかし準備を始めたもののその表情は複雑そうで、
「グリーンさん…、あの……。」
イエローはそんな彼の様子に何か言いたげにしていた。
グリーンはそんな彼女を一瞥し、一言。
「さっさと手伝え。」
「は、はい!」
イエローもすぐに準備に取りかかった。
不安そうなイエローの横顔に、
「(…もっと余裕をもたないとな。)」
グリーンはそう痛感していた―……。
「…う…ん」
イミテはぼんやりとした眩しさに、うっすらと目を開ける。
視界に広がっていたのは、星が少ない真っ暗な夜空。
そんな中ほのかな月明かりが差し込んで、彼女の顔を照らしていた。
「(…ここは…?)」
意識がもうろうとする中、背中のズキンという痛みでだんだんと現実に引き戻されていく。
そして、
「……えっ!?」
横を見たイミテは思わず飛び退いた。
なぜなら彼女はレッドに抱き抱えられるような体制になって倒れ込んでいたからだ。
「っ…//」
思ってもみなかった状況に、彼から離れた今も、イミテの顔はどんどん熱をおびて赤くなっていく。
「(び…びっくりした。)」
ほんのり温かい自分の体に、ますます彼女の鼓動は早くなるばかり。
「…っ…。」
すると、自分の腕の中から人が消えた感覚が伝わったからか、レッドが小さなうめき声をあげながらうっすらと目を開けた。
その瞳は徐々に大きくなっていき、イミテを捉える。
「……イミテ。………え、俺達、どうなった…?」
レッドが上半身をおこしながら言うと、イミテは状況を確認するために上を見上げた。
…本当は赤くなった顔を隠したいという気持ちもまざっていたのかもしれない。
「弓を追いかけて崖から…落ちたみたいね。」
「ああ…そういえば。」
レッドも上を見上げる。
上には高く険しい崖がそびえたっていた。
おそらく数十メートルほどはあるだろう。
どうするべきかと考えていたとき、イミテがあることに気づき声をあげた。
「レッド!怪我してる…!」
彼女の言うとおり、レッドの膝はぱっくりと割れていて、赤い血が足を伝って流れでている。
なんとも痛々しい光景だ。
さらによくよく見れば肘と頬にも切り傷が。
あの高さから落ちたわけだから、当然と言えば当然なのだが…。
「(どうしてレッドだけ…?)」
イミテは自分とレッドの怪我の違いを見て、不思議に思った。
自分は手の甲に浅い傷ができているだけ。
どうして落ちるとき気絶していたのに、これだけの怪我ですんだのだろうか。……おかしい。
それにレッドなら受け身もとれたハズなのに…。
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