13 知って、知って、私のこと
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すっかり日は落ちて、月明かりが唯一の光となった頃…。
「チッ…。」
舌うちをしたグリーン。
彼は不機嫌な様子を隠しきれずにいた。
その原因はただ食料を調達することが目的だったはずなのに、いつまでたっても戻ってこないレッドとイミテ。
2人とも山には慣れているハズだし、実力もある。
…となると何かに巻き込まれたとしか考えれられない。
やはりあの時もっと慎重に組み合わすを考えるべきだった、とグリーンはまた舌打ちをする。
「グリーンさん…。今日はもう休んで、明日また探しましょう。」
イエローはそうグリーンに話しかける。
しかしグリーンは「いや、もう一度探してくる。」と、再び歩き出そうとした。
…が、
「…どうしてそんなに必死になるんですか?」
イエローの言葉に足を止める。
「レッドさんとイミテさんの実力は、グリーンさんもよく知っているはずです。」
「…当たり前だ。」
「じゃあ少なくとも…怪我とか事故の心配をしてるんじゃないんですよね?」
「…何が言いたい?」
全く意図のみえない会話に、グリーンは少しイラついた様子で聞いた。
イエローは意を決したように顔をあげて彼を見据える。
「アナタが心配してるのは…、レッドさんとイミテさんが2人きりだということ…ですよね?」
「…!」
イエローの言葉に、グリーンの胸がドクンと高鳴った。
「だからそんなにイラついてるんです…よね?」
遠まわしな言い方だが、グリーンにはちゃんと伝わった。
それは明らかに“グリーンがイミテのことを好きで、レッドに嫉妬している”ということを示唆する内容だ。
「…くだらないことを言ってる暇があったら探すのを手伝え。」
グリーンはいつもと変わらない様子で、呆れたようにため息をついて言った。
話題を終わらせようとしたのだが、イエローは引き下がらない。
彼女は気づいていた。
グリーンのイミテに対する想いを。
……聞かずともなんとなく雰囲気で分かってしまったのだ。
普段はあまり感情を表にださない彼が、イミテのことを愛おしそうに見ていた、その時から。
「グリーンさんは…、イミテさんのこと特別に思ってるんですよね?」
イエローは今度はその予想を、率直に口にした。
「……。」
グリーンは否定も肯定もせず、ただ黙ったまま。
「あの…!2人のことが気になるのは分かります。でもイミテさんとレッドさんならきっと何事もないですよ。レッドさんも恋愛感情はもってないみたいだし「イエロー…、少し黙ってろ。」
呟くようにそう言ってイエローの言葉を遮ったグリーン。
一見穏やかそうに思える口調だが、彼はひどく苛立っていた。
たった数ヶ月一緒にいただけの奴に、何が分かるというのだろう。
自分は小さいときからあの2人と一緒にいる。
ずっと側にいた。
ずっと見てきた。
…だから、嫌でも分かってしまうのだ。
(レッドが昔から)
(イミテに好意をもっていることが)
そして、彼女の記憶を取り戻せない今でも、無意識のうちにその気持ちが現れていることが。
(レッドがイミテを見る目は、)
(自分と同じなのだから。)
優しくて、他人想いで、でもしっかりと芯を持っていて、それでいて…弱くてもろい、1人の女の子を。
(きっと自分もレッドも、)
(彼女に惚れている。)
まだレッドは自覚がないようで、その感情に気づいていない。
でも、記憶が戻ったらそのことも一緒に思いだすだろう。
レッドは自分にとってライバルであり親友だ。
だから記憶は思いだしてほしい。
そう思っているはずなのに、心のどこかで『このまま思いださなければいい』と思っている自分がいる。
レッドとイミテが2人きりで話しているとたまらなく不安になる。
いつ思いだすのか、
いつ思いだすのか…
そればかりが思考を支配する。
とにかく、仲間の幸せを願えない自分が…
ひどく腹立たしかった
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