13 知って、知って、私のこと
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周りには特に何もない、殺風景な草原。
そんな中を先頭をきって歩いていたレッドは「ふわ~ぁ…」と気の抜けた欠伸をする。
「レッド、気を抜くな。周りに注意して歩け。」
「だって周りになんもねえし、いい天気だし。」
まさにご機嫌という言葉がぴったりなレッドを、グリーンは呆れた顔で見ていた。
「何だよ、グリーンは相変わらず真面目だなあ。イミテとイエローもそう思うよな?」
レッドが振り返れば、イエローはにっこりと笑って答えた。
「はい!お日様が気持ちいいと元気がでますよね!」
「だよな!イミテもそうだろ?」
「……。」
レッドが問いかけるがイミテからの返事はない。
「イミテ?」
不思議に思ってレッドが目を向ければ、彼女は太陽に照らされる草を見つめていた。
優しく、愛しそうに。
でも…どこか儚げに。
「……。」
レッドもイエローも、グリーンも。
しばらくそんな彼女に見とれていた。
「あ…、え?」
ふと3人の視線が自分に向けられていることに気づいたイミテは、きょとんとした顔で見つめ返す。
「なに?どうかした?」
「あ、いや…イミテって草が好き…なんだっけ?」
レッドは少し控えめにたずねた。
何しろ自分はイミテの昔の記憶が一切ない。
自分の何気ない言葉が彼女を傷つけてしまいそうで怖かったのだ。
「うん、まあ…。」
イミテは苦笑いをうかべて、何とも歯切れの悪い言葉を発した。
その様子を見ていたグリーンは、額にシワをよせ顔をしかめると「イミテ。」と名前を呼んだ。
「ん?」
「あまり気にするな。」
「うん。ちょっと思い出してただけだから。」
イミテはふわりと笑う。
…その目にはやはり、悲しさが見え隠れしているのだけれど。
レッドは2人にしか分からない会話が気に入らないらしく、少ししかめっ面。
またしばらく歩くと、彼らの前に大きな山が立ちはだかった。
「こんな山、地図にはありませんでしたよね?」
「でも方角的に、シオンタウンに行くにはコレこえなきゃいけないみたいだな。」
その山は結構な高さがあり、向こう側までたどり着くには数日かかりそうだ。
「行くぞ。」
前に進まなければ意味がないとでもいうように、グリーンが先頭をきって進む。
山の中は背の高い木が多く、予想以上に薄暗い。
その上足場も急だ。
「なあ、前にニビの王室に行った時みたいに、頂上まで蔓伸ばせないのか?」
レッドはイミテの持っている弓に目を向けながら言う。
彼が言っているのは、イミテの緑の能力のこと。
確かに彼女の能力は蔓を伸ばすのは容易なのだが…。
「できないよ。あの時は距離がそこそこだったからできたけど、さすがにこんなに距離があるとね。」
「そうなのか?」
「うん。私の能力は力が制限される型だから。レッドのはたぶん違うけど。」
「型…?」
レッドは思わず復唱した。
「イミテ、何のことだ?」
グリーンも興味があるらしく振り返った。
「うーん…、軍にいる時に教えられたんだけど、」
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