12 朱色のマントをひるがえし
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はあ、とイミテはため息をついて今度は静かに話し始める。
「…人には得意不得意があって当たり前でしょ?たしかにイエローは戦いは強くない。でもあの子は私達の傷を癒やしてくれる。」
「…っ、でもイエローが攻撃できればイミテが怪我することもなかった…!なんで、庇ったんだよ!」
「仕方ないでしょ。つい、身体が動いちゃったんだから。…逆に私は驚いてるよ。」
イミテはレッドを軽蔑するような目つきで見て言った。
「あのとき、レッドが動かなかったことに。どうして、イエローを守ってあげなかったの?」
「……っ、」
「レッドはもっと、仲間を大切にする人だと思ってた。」
ぴしゃりと彼女が言い放った言葉は、彼の心に突き刺さった。
しばらくの間、誰も言葉を発しない。
重い沈黙だけがひたすら続く。
「……俺も、イミテがそんなバカだと思わなかった…!」
「…どういう意味?」
「他人の心配するのは自分の身を守れるようになってからにしろよ!もっとよく考えてから行動しろ!」
「!レッドにそんなこと言われる筋合いない!」
「仲間に意見してなにが悪いんだよ!」
「他の人を思いやれないような人に、仲間呼ばわりされたくないから!」
イミテは言った後で後悔した。
さすがに…これは言い過ぎだ。
「…ごめん、言い過ぎ「いや…、イミテの言うとおりだ。」
イミテの言葉を遮って、レッドは苦笑をうかべて言った。
「……そりゃあそうだよな…。…イミテにだって、手を出す前にちゃんと話し合えばよかったんだ。もっと俺達のことも頼れ…って。そう言うつもりだったのに。」
「……。」
「自覚してる。悪いのは俺だって。それなのに、なんか悔しくて、謝れなくて…。イエローにまであたって。バカみたいに、意地はって。」
しゅん、と俯いたままのレッド。
「レッド。顔…あげて?」
イミテが優しい口調で言えば、少しためらいながらもレッドは顔をあげた。
2人の様子を黙って見ていたグリーンとエリカは、これで仲直りか、と安堵のため息をもらす。
しかし次の瞬間、
バシンッ!!
痛々しい音が響きわたった。
イミテがレッドの頬を叩いたのだ。
彼女のまさかの行動に唖然としながら見ていたグリーンは、我にかえって止めにはいる。
「イミテ!感情的になるな。やりすぎだ!」
「……レッド。」
イミテはそれを無視してレッドに話しかける。
「これで、おあいこだから。」
そう言ってやわらかい表情を見せた。
「はっ……?」
「だから、もうこの話は終わりって言ってるの。レッドが私をぶったかわりに、私もレッドをぶったから、これで仲直り。分かった?」
「あ、ああ…。」
今のレッドにはどんな言葉も慰めにはならず、きっと彼の中の罪悪感は消えない。
イミテはきっとそれを見抜いていたから、この選択をしたのだ。
少々一方的すぎるが彼女らしい、とグリーンは笑みを浮かべた。
「行こう、イエローを迎えに。」
「え…?」
「レッド。思ってるだけじゃ伝わらないよ。少しでも後悔してるなら行かなきゃ。」
「……ああ。」
レッドは静かに頷いた。
それを見て穏やかに笑い、ベッドから出ようとしたイミテをエリカが止める。
「いけませんわ、イミテ。アナタまだ回復しきってないんですのよ?」
「大丈夫。熱は下がったし。」
「おい、イミテ。また無理して「それに、」
納得いかなそうなレッドの言葉を遮り、イミテは笑いかけた。
「1人じゃないから平気。頼ってもいいんでしょ?レッド。」
にこっと笑ったイミテに、レッドも思わず顔が緩んだ。
「ああ!まかせろ!」
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