12 朱色のマントをひるがえし
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ズキン、ズキン。
薄暗い部屋の中、痛みのせいでイミテは目を覚ました。
ゆっくりとまぶたを開ければ映ったのは、心配そうに自分を見つめる人々。
「イミテ!」
彼女の耳に届いた第一声は、レッドの心底安心したような声だった。
「…っ!」
ゆっくりと体を起こせば、ズキンと一段と激しい痛みが襲ってきて、イミテは思わず頭をかかえる。
「おい、大丈夫か!?」
「無理に動くな。まだ完全に毒が抜けたわけじゃないんだ。」
「毒…?」
ぽかんとした様子で彼女はグリーンの言葉を復唱した。
「キョウの剣に毒が仕込まれていた。」
「……。」
イミテは黙りこんだまま数時間前の記憶をたどる。
「(ああ、私、イエローを庇ってキョウに斬られたんだっけ…。)」
そのあとやけに苦しくなって…そこから先はよく覚えていない。
「キョウは?結局どうなったの…?」
「あのあと、イエローが光の能力を使ってお前の傷を治したんだ。それを見てキョウは『思わぬ収穫ができた。』と言って目の色変えて引き返して行った。」
「イエローの能力、バレちゃったんだ…。」
イミテは顔をしかめた。
バレた以上、向こうも何らかの手をうってくるはず。
今後はより警戒しなければならない。
「でも引き返したってことは、エリカは無事なの?」
「ええ。この通り、ピンピンしてますわ。」
イミテの問いかけに応える声とともに、洗面器を片手に持ったエリカが扉から入ってきた。
彼女はイミテの居るベッドの脇に座り、タオルを水でギュッと絞る。
そしてそれをイミテの首元にあてた。
「(気持ちいい…)」
「アナタ、さっきまで熱があったんですのよ。」
「熱が…?」
「ああ。かなりうなされてたぜ。」
そんなこと言われても、眠っていた時の記憶なんてあるはずない。
夢さえも見なかった。
しかし、汗で額にはりついた髪とぐっしょりと濡れた服がそれを物語っている。
「それほどあのキョウと言う男はやり手だと言うことだ。」
「ああ、たぶんあのまま戦ってたら俺達は負けてた…。」
「対策をたてておく必要があるな。イエローが能力者だとバレた以上、必ずまた戦うことになるだろう。」
イエローという言葉にレッドの表情が曇ったのを、イミテは見逃さなかった。
「…そういえば、イエローは?」
先ほどから彼女の姿だけが見当たらなくて、加えてさきほどのレッドの表情。
……何かあったんだ、とすぐに悟った。
「………。」
「イエローは昨日出て行ったっきり戻ってきていない。」
黙ったレッドのかわりにグリーンが答えた。
「どういう意味?」
やっぱり…と思いつつ、イミテは冷静に聞き返す。
しばらく沈黙が続き、やがてレッドが重々しく口を開いた。
「…俺がイエローに言ったんだ。……戦えないやつは一緒にいても邪魔になるだけだ、って…。」
「…ッ!なんでそんなこと言ったの!?イエローがどんな気持ちになるか、少し考えれば分かるでしょ!?」
間髪いれずにイミテが怒鳴る。
「…ホントのことを言ったまでだ!!」
ついさっきまで罪悪感と後悔でいっぱいだったのに、頭ごなしに言われてレッドはつい言い返してしまった。
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