11 それぞれの思いやり
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ちょうどそのときだった……、グリーンがイミテの異変に気づいたのは。
「イミテ、お前…顔色悪くないか?」
「え…?」
「あ、たしかに…。」
イエローもイミテの顔をジッと見て言った。
いつもはもっと明るいはずの彼女の頬が、何故か青白い。
「傷は治したのか?」
「はい。ちゃんと治療しまし、」
シャラン…
またイミテの髪飾りが音を立て、イエローの言葉を遮った。
直後、ドサッと、イミテが地面に倒れ込む。
「イミテ…!?」
「おい!イミテ!!しっかりしろ!!」
イミテの息は荒く、額には汗がにじんでいる。
「平気…。ちょっと目眩がしただ、け…。」
「平気じゃないだろ…!イエロー!治療したんじゃないのか!?」
「傷は塞ぎましたよ!」
突然の事態に皆驚きを隠せない。
「まさか…。」
エリカがその様子を見て、冷や汗を流しながら口を開いた。
「キョウという男…毒の使い手だと噂で聞いたことがあります!もしかしたら彼の使っていた剣に毒がしこまれていたかもしれませんわ!」
「…!イエロー!すぐに解毒を…!」
「無理です…」
イエローが涙目になりながらグリーンを見上げた。
「光の能力は傷を癒やすことしかできないんです…!毒とか麻痺とか…身体の内側のものは治せません…!」
「な…!」
「う……ごほっ…!」
「イミテ!!」
そうしている間にもイミテの息はだんだんと細かく弱くなっていく。
「エリカ!とにかく治療士を手配してくれ!」
「わ、分かりました!」
エリカは城の中に走っていく。
サッとレッドがイミテの体を持ち上げた。
「俺達も行くぞ!急がないとイミテが…!」
自分の腕の中でだんだんと息が荒くなるイミテを見て、レッドの不安は増すばかり。
それからすぐに治療士の処置を受けたイミテ。
今はなんとか落ち着いてベッドに横になっていた。
「毒はほとんど抜けましたが、全て取り除けたわけではないのでしばらくは安静が必要です。」
治療士がレッド達にそう告げる。
今だ暗い面持ちの彼らに「大丈夫。じきに目が覚めると思いますよ。」と言って、治療士は部屋から出て行った。
ベッドの隣に座っていたレッドは、さっきからジッとイミテを見つめていた。
青白かった頬は赤みを取りもどし、呼吸も比較的安定している。
「僕のせいで、イミテさんが…。」
イエローは目に涙をうかべる。
グリーンはそれを見てはあ、とため息をついた。
「お前のせいじゃない。……原因があるとしたら、レッド……、お前だ。」
「俺…?」
「そうだ。お前がイミテよりイエローを庇ってたら、少なくともこんなことにならなかったはずだ。違うか?」
グリーンの言う通りだ。
たとえレッドがイエローを庇ってイミテが狙われたとしても、彼女は武器を持っていた。
先ほどのように切羽詰まった状況でなければ、自分の身ぐらい守れたはずだ。
「お前が動かなかったから、イミテは捨て身の覚悟でイエローを庇ったんだ。」
自分のした行動を批判される悔しさと、自分が原因で大切な仲間を傷つけてしまった事実が、レッドには痛いほど分かっていた。
……でも、改めて人に言われると何だか気にくわなくて…。
彼は言ってはいけない言葉を口にした。
「!なんだよ…!原因は俺よりイエローだろ!自分で自分の身も守れないような奴は、居ても邪魔になるだけだ!」
「…!」
レッドの言葉にイエローはギュッと拳を握りしめ、俯き気味に走って部屋をでていく。
しばらくその部屋は重たい静寂に包まれる。
「バカが…。」
グリーンの呟きがだけが悲しく響いた。
完成したパズルを壊してしまったのは、誰?
バラバラになったピースは
あちこちに散らばって
元に戻そうとすればするほど
複雑になっていく
.