11 それぞれの思いやり
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レッドが怪我をしていないことを確認すると、イミテはグリーンに目を向ける。
彼は兵に周りを囲まれていた。
やはり数が多すぎる。
シュっと弓をうち、そのうちの2人をひるませる。
矢はなくなってしまったが、これでグリーンは戦いやすくなるはず…。
「(援護はもう無理だから、あとは私はエリカを守ることに専念して…)」
「イミテ!イエロー!」
レッドの声が響く。
見ればキョウがこっちに向かって走ってきていた。
彼の狙いはもちろんエリカだ。
イミテもイエローもサッと前にでて身構える。
レッドがキョウより早くイミテの前に立ち、剣を構えた。
「レッド!私はいいからイエローのほうを、」
イミテはそう言い、懐からイエローから預かった短剣を取り出す。
しかし、レッドは動かない。
……彼の頭の中には昨日のグリーンの言葉が浮かんでいた。
“仲間だというなら、そういった状況にならないようにしてやるのが、俺達の役目じゃないのか?”
自分が、守らなければいけない。
「クク…。」
「!」
キョウはしめたとばかりに標的をイエローに変えた。
「や……!」
「ッ、イエロー…!!」
シャラン、とイミテの髪飾りが音をたてた。
「っ…、」
「ククク…。貴様も忙しいなあ…。」
そこにはとっさにイエローをかばい、短剣でキョウの剣を止めているイミテがいた。
しかしあまりに突然なうえ、イミテは剣術なんて学んだことはなく、唯一の経験はレッドとグリーンを見てきた程度。
「いつまでもつかな?」
キョウが力を強めれば、やはりかなうはずもなく、ビシビシと短剣にひびが入っていく。
「!」
無理だと悟り素早く身を引いたイミテだったが、ほんの少しキョウの剣のが早かった。
「っ……!」
痛みに顔を歪めるイミテ。
彼女の肩からは鮮やかな血がツーとたれる。
それは服に染み込み、またたくまに“赤”を広げていく。
「……この!」
しばし唖然としていたレッドだが、ハッと我に返り、イミテとキョウの間に入りさえぎるように剣をふりかざした。
「イミテさん!」
その隙に、イエローがすぐさま傷口に手をかざし、能力を使った。
パアっと光り、傷口が塞がっていく。
「大丈夫ですか!?イミテさん…!」
傷口はあっという間にふさがり、イエローは彼女の顔をのぞきこんだ。
「…大丈夫。ちょっとかすっただけだから。」
そうは言っても、その顔はやはりまだ辛そうだ。
さきほどの痛みが残っているのだろうか。
「ほう…。そこの金髪、光の能力者か…!」
「うわっ!」
キョウは剣に力をいれレッドを押し負かすと馬に飛び乗った。
「ハハハ!思わぬ収穫ができた。一旦引くぞ!」
キョウはそう言い、馬を走らせる。
グリーンと戦っていた軍人達も後に続いた。
「(行ったか…)イミテ!」
「イミテ!怪我は…!?」
レッドもグリーンもあわててイミテに駆け寄る。
イミテはレッドを鋭い目つきで勢いよく睨んで言う。
「なんでイエローを庇わなかったの!?」
大声が響いた。
「それは…。」
レッドが口ごもり、イミテはさらに彼を睨みつける。
「……レッドがそんな人だと思わなかった。」
「……。」
返す言葉もなく、黙りこむレッド。
それに、くるりと背を向けたイミテ。
状況はどんどん悪い方向へと向かっていく。
不穏な空気が漂っていた。
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