11 それぞれの思いやり
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夜。月が空の真上に来たころ、遠くのほうにちらほらと灯りが見えた。
灯りの数からして数十人はいる。
「(この数を能力なしで追いかえすとなると…少し厳しい戦いになるかも。)」
イミテは今後を予想して、少し眉間にシワを寄せる。
チラリと、城門に堂々と立っているエリカに目をやる。
エリカは緊張した表情をしているが凛と前を見て立っている。
「(しっかり守らないと…)」
イミテは自分に言い聞かせるように心の中でつぶやいた。
レッド、グリーンは近くの茂みに身をひそめているが、イミテは武器がなくなりそうなためイエローと城門の陰に隠れているのだ。
どこまでできるかは分からないが、サポートぐらいはできるだろう。
やがて遠くから一頭の馬が走ってきた。
その後ろからは軍服を着たたくさんの人の集団が。
あっという間に馬はエリカの目の前まで来て、ヒヒーンと高らかな声を上げると立ち止まった。
「これはエリカ殿。外にでて待っているとは…我々を歓迎しているのかな?」
馬に乗っている男はエリカを見てあざ笑うように言った。
「歓迎などするわけがないでしょう。バカにしないで。サカキはどこですか?」
エリカの発言から、今彼女と話している男はサカキではないようだ。
「サカキ様はこんなちっぽけな問題事に関わっている暇はない。」
「変わりにあなたが私の相手を?」
「クク…。俺はキョウ。三幹部の1人だ。心配するな、それなりの実力はある。」
ストッとキョウと名乗った男が馬から降りた。
そして剣の柄に手をかけていう。
「さて、本題にうつろう。エリカ殿、この町の所有権、放棄してくださったかな?」
「ふざけないで!私は一生この町の王女として生きます!」
強く言い放ったエリカに、…キョウの表情が豹変した。
「できれば手荒なことはしたくなかったんだが…仕方ないな。貴様には死んでもらおう。」
キョウが剣を抜こうとしたその瞬間、パシュっと矢がキョウの手をかすった。
「!なに…!?」
「その人は、殺させない!」
イミテがエリカの一歩前にでて、弓を構える。
「小娘が…!護衛をつけていたとはな。」
キョウはサッと距離をとる。
その瞬間を狙ってレッドとグリーンも茂みから飛び出した。
「イミテとイエローはエリカを守ってくれ!俺とグリーンでコイツらを倒す。」
レッドは素早く剣をぬく。
「レッド、前も言ったが、能力は使うな。情報がもれたらやっかいだ。」
「分かってる!行くぞ!」
小声で言ったグリーンの言葉に、レッドは勢いよく返事を返し、キョウに向かっていった。
カキン!
そんな音をたててレッドとキョウの剣がぶつかり合った。
一方、グリーンは周りにいる軍人を1人ずつ確実に峰打ちしていく。
しかし数が多く、何人か隙をついた軍人がエリカに襲いかかった。
「きゃ…!」
小さく悲鳴をあげたエリカだったが、心配は無用だったようで、イミテが蹴りで兵を気絶させていた。
「エリカ!私から離れないで。」
「え、ええ!」
イミテは軍人を警戒しながら矢立てに目をやる。
矢は、あと2本…。
突然、ドン、と鈍い音がしたかと思えば、レッドが壁に叩きつけられていた。
「くそガキが!俺に刃向かうとはいい度胸だ!」
キョウが剣を振り上げた瞬間、イミテが矢を放った。
「!」
それはキョウの目の前を通り過ぎ、彼をひるませた。
「(イミテ、か…!)」
その隙にレッドは体制を立て直し、また剣を構える。
これで矢は残り1本。
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