11 それぞれの思いやり
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そのあとすぐに身支度を整えたイミテは、イエローとともに次の町で調達するものを紙に書き出していた。
「これで全部かな。」
「はい!…そろそろ出発の時間ですね。」
「グリーンに準備できたって言ってくる。」
イミテが立ち上がると同時に、グリーンと、そしてレッドが戻ってきた。
「出発するぞ。」
「!はい!ちょうど今呼びに行こうと思ってたんですよ。」
イミテは「じゃ、行こうか。」といつものようにほんのりと笑って歩き出した。
いつも通りに振る舞っているが、レッドとイミテは昨日の出来事から話しかけることも目を合わせることもしていない。
それは今朝も同様で…気まずい空気はいまだ消えていなかった。
歩き始めて数時間で町が見えた。
「おっ。あれがタマムシシティか。」
「あっという間につきましたね。」
レッドとイエローは歩きながら話しをしていて、その数歩後ろをイミテとグリーンが歩く。
「…イミテ。」
「………」
「おい、イミテ。」
「!……あ、ごめん。ぼーっとしてた。なに?」
一瞬驚いた表情をしたあと、イミテはすぐにいつもと変わらない表情になる。
「…矢がなくなりかけてたか?」
「うん。あと2、3本しかない。」
「タマムシについたらまず最初に武器の調達だな。他には?」
「医薬品は特に減ってないから…買うとしたら食料と、衣類がちょっとかな。」
「………。」
「?なに?」
急に無言になって自分を見つめるグリーンに、イミテは首を傾げて聞く。
「…お前、昨日寝たか?」
「うん。どうして?」
「…いや、ならいい。」
そう、とイミテはグリーンから視線をはずした。
「え…?」
そして小さく声をあげる。
「なんだ?」
「花が、枯れてる…。」
「なんだと…?」
「あそこ。」とイミテが指を指し、グリーンがそれをたどる。
そこには花壇があり、たしかに花が枯れていた。
いや、枯れているというよりはむしろ、黒く変色し…腐っている。
「グリーン!武器屋に何も売ってないぞ!」
「食べ物も何も売ってません。町全体が…空っぽです!」
レッドとイエローがあわてた様子で2人の元に駆け寄った。
「(町に人の気配はない。そしてこんな花の枯れ方…見たことない。)」
グリーンは少し考えこんで、イエローをジッと見た。
「…イエロー。この花、お前の力で治せるか?」
「花、ですか…?」
イエローは腐った花を見据えて表情を曇らせた。
「…とりあえずやってみます。」
イエローは静かにそれに手をかざす。
パアッと光が集まったかと思えば、花自体が本来の鮮やかな色をとり戻す。
折れていた茎も真っ直ぐになり、上に向かって綺麗に咲いた。
「すげえな…。」
レッドがそうつぶやいたと同時に、後ろからパチパチという拍手が聞こえた。
4人はバッと振り返り、武器を構えて急に現れた人物に警戒を示す。
「お見事ですわ。素敵な能力をお持ちなのですね。」
そこにいたのは、品のある綺麗な着物を身にまとった女性。
「アナタ達…能力者、ですね?」
「!」
その言葉に反応し、グリーンが素早く剣を構える。
「そんなに警戒しないでください。その能力、とても素敵ですわ。」
「…お前は、何者だ?なぜこの町には誰もいない?」
「こんなところで立ち話もなんですから、私の家にいらしてください。…聞きたいのなら、ここ、タマムシシティに何があったかそこで全てお話しますわ。」
女性はそう言って歩きだした。
レッド達は顔を見合わせ、人の気配が全くないことからとりあえず罠などではないだろう…、とついて行くことに決めた。
その道中グリーンが一言…。
「幸いイエローが能力者だということしかばれてない。俺達は気づかれないようにするぞ。いいな。」
レッドもイミテも、コクリと頷いた。
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