11 それぞれの思いやり
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草むらからその様子をみていたグリーンも、少し口元をあげ、優しい顔をしていた。
グリーンは静かに2人に歩みよる。
「イミテ、イエロー。明日の朝、タマムシシティに出発する。タマムシは以前サカキ本人が支配していたらしい。」
「「!」」
「情報を聞き出すぞ。」
2人はコクリと頷く。
「あれ?レッドさんは…?」
「アイツなら…考え事をしている。」
「…。」
グリーンの返事にイミテの表情がくもる。
そんな彼女の心情を察したのか、グリーンはイミテの頭に軽くポンと手を置くと…
「……お前のせいじゃない。気にするな。」
小声だけれど優しい口調で言った。
「もう寝るぞ。明日は早い。」
「はい。」
「…うん。」
イミテとイエローが寝袋に入ったのを確認し、グリーンは火を消した。
それから数時間後。
夜明けが近いらしく、ほんのりと空が明るくなってはきたがまだ薄暗い。
イミテは静かに寝返りをうつ。
寝袋に入ったはいいが、あれから全く寝ていなかった。
おまけにレッドもまだ戻って来ていない。
気晴らしに散歩にでも行きたいのだが、レッドと鉢合わせしたら…と思うと寝袋から出れずにいた。
はあとため息をつき、また寝返りをうとうとしたとき、ガサッと草むらから小さな音がした。
次いでサク、サクと土を踏む音。
「(レッド、だ…)」
その音の正体に気づき、イミテはまるで蛇に睨まれたようにピタリと動かなくなった。
今、起きていることに気づかれても何を言えばいいか分からない。
それに最悪、また喧嘩になってしまうかもしれない。
「(…寝たふりしよう)」
幸い薄暗くて顔は見えないし、レッドの足音が聞こえるのは背中のほうだから…顔も見えないし気づかれないだろう。
サク、サク…。
だが予想と反し、足音はイミテのすぐ後ろで止まった。
「(え…気づかれた?)」
思わず息を止めるイミテ。
するとふっ、と髪がどけられ、頬に温かい感触を感じた。
「(!?)」
イミテは思わず目をあけてしまったが、なんせこの暗闇…、気づかれることはないだろう。
「まだ少し赤いな…。」
そう小声でポツリとレッドがつぶやいた。
「(赤い…?)」
そういえば…、とイミテは思い返す。
今レッドがふれている方は、昼間彼に叩かれたほうの頬だ。
「…やっぱり、こんな時間まで起きてないよな…。」
レッドは苦笑をもらすと立ち上がり、自分の寝袋にもぐりこんだ。
「……。」
もし自分が起きていたら、彼は何を言おうとしたんだろう…。
そんなの考えても分かるはずがないけど…。
悶々としているうちにだんだんと、睡魔が襲ってきた。
「イミテさん。朝ですよ。」
その声に反応してイミテが目を開ければ、そこには優しく笑うイエローがいた。
「イエロー…」
なんだか若干だるい身体(単なる寝不足だろう)を起こし周りを見てみれば、他の寝袋には誰もいない。
「おはようございます。初めてですね、イミテさんが1番最後に起きるって。」
軍での生活は朝が早いためイミテは必然的に朝型の生活に慣れている。
だから普段はイミテがイエローやレッドを起こしているのだが…。(ちなみに、4人の中で1番早起きなのはグリーンだ)
「ちょっと寝るのが遅かったからね。」
寝不足のためか、目がほんのり腫れているイミテ。
レッドが戻ってきてようやく寝れたのはいいのだが、睡眠時間は2、3時間程度。
「無理しないでくださいね?」
「うん。ありがと。」
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